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《書籍紹介》 『あたまの地図帳』 下東史明
2012.12.10
新刊紹介
book2.jpg『あたまの地図帳
地図上の発想トレーニング19題』

下東 史明 著


発行 朝日出版社

定価 1,680円


※書評/玉山貴康さん







ぼくは「発想法」のたぐいがちょっと苦手で。
なんか胡散臭くないですか。
綺麗にチャートやフローなんかで整理されて、
こうこうこのような手順で考えれば、素晴らしいアイデアが閃きます的な。
大きなお世話だっつーの。そんなカンタンじゃない!と抗う自分がいるのです。
そのうえ、地図も苦手でして。
昔からメチャクチャ方向音痴。
東京に上京したてのころ、渋谷に行こうとして浅草に着いたぐらいの天然ぶり。
地図を持っていても、かなりの確率で迷う。
だから地図というものに対してあまりよい印象を持ってないんです。

いやー、下東くんから贈本された時、ゴメン、今だから言うけど、正直、困惑しました。
みると、地図を使った発想法(笑)。
おいおい、苦手なものがダブルで入っているよ、と(笑)。

そもそも地図って、目的地に辿り着きたいときに、必要に迫られて使うものでしかない。
そこから何を発想しろというのだ。皆目見当もつかない。
在るものが、在るべきところに、在るだけのものじゃないか。
面白くもなんともない。
本当にそう思ってました。
本書を読むまでは。



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しばらくね、なんとなく手が伸びなくて、
机の書類の中に埋もれていたことを、ここに白状します。ごめんね。

でもある日、仕事が一段落して、なにげなく手にとってみたら、
これがもう止まらない、止まらない。
なんだろう、この不思議な感覚。スルスルと引き込まれていく感じ。
-(マイナス)と-(マイナス)を掛け合わさると、本当に+(プラス)になるんだと
身をもって実感できたのは初めてのことでした。
やんなきゃいけない仕事がたんまり溜まってて、本を読んでるヒマなどないと思う反面、
あれ、この考え方、もしかして、あの企画に...的要素が、
ここかしこに散りばめられていて手離せない。無視できない。

「下東マジック」とでも申しましょうか。
ほほーっ。そういう見方すると、なるほど面白い!
ははーっ。そんなとこまで考えますか!の連続で。
さまざまな発見に満ちていて、
そんじょそこらの映画を観るより断然楽しい、知的エンターテインメントでした。


book3.jpg


1 凝視 
2 立場 
3 方角 
4 争点 
5 宗教 
6 ルーツ 
7 ストーリー 
8 2位 
9 スケール
10 距離 
11 経路 
12 目印 
13 交差点 
14 探索 
15 整列 
16 類似 
17 差異 
18 志向 
19 限定

この19個のモノサシで、基本、とにかく地図をみていくわけなんです。
いろんな場所を訪れていきます。下東くんといっしょに。
まるで、誰も知らないオイシイ穴場ばかりを教えてくれる
優秀な添乗員さんみたいな感じ。
文体も、書いたものを読んでいるというより、
下東くんが喋っているのを横で聞いている感じに近いのでなおさらです。
誰もはぐれることなく、面白い考え方の道筋をずっと照らしてくれます。
旅行にいって、「わぁ!」とか「まぁ!」とか思わず声がでてしまう瞬間があるでしょう。
目の前に見たことないものが現れたあの瞬間。あの驚きと感動。
本書でも、その時と同じような興奮を体験できるんです。

それだけでもたいへん刺激的で興味深いんですが、
そこからさらに「思考実験」と称し、
他の領域でもこのモノサシが応用できないかと試みています。
そう、地図だけで終わらないのです。いろんな分野にビュンビュン飛んでいきます。

たとえば、
「宗教」という話からは、宗教とはつまり心のあり方であるとし、
無宗教であると思っていた私たち日本人も、
じつは3つの宗教「空気教」「組織教」「新興教」のうち
どれかを信仰しているのだと唱えたり、
「スケール」という章では、体感することが大事だとし、
日本の国の大きさを具体的に把握するために、
アメリカの五大湖や東海岸と比較、
さらにその応用として、漠然としか捉えらないはずの、
あらゆる業界の市場スケールまでも体感させる。
とにかく、いままで味わったことのないようなかたちで知的冒険心をくすぐられるのです。

しかしながら本書に通底しているものは、
「本当のところ、わたしは何も知らないのだ」という無知の境地。
すべてそこからスタートしているように感じました。
「ものを知らない」ということは、現実社会において、
時に恥ずかしく、あまり褒められた状態ではないかもしれない。
でもその事実を素直に受け入れ、ニュートラルな目でみる。
それこそが、真実を手に入れ、本質をつかむ、じつは近道なのだ。
そんな裏メッセージがあるような気がしてなりません。
下東くんは本書のなかで、その物事に対し、
自分は「知らなかった」「分からなかった」と、包み隠さず打ち明けてくれている。
あぁ、ぼくといっしょなんだぁと共感したのも束の間、
そこから本質をつかみとっていくスピードの速さと工夫に、凄みすら感じました。
競合では絶対にあたりたくないタイプだな...と、急に背筋が寒くなったのを覚えています。

ご存知の方も多いと思いますが、
下東くんのヘアスタイルは、そのユニークさで有名で、左右非対称。
たしか右側が坊主、左側がロングヘアだったと記憶しています。
モヒカンよりもパンクな髪形をしているのですが、
あの頭の中で、こんなことを考えておったのかと思ったら、こんなコピーを思いつきました。

下東くんは、あたまの中もヘン。

ま、このコピーの評価はさておき(笑)、
オススメします!『あたまの地図帳』
是非あなたも、彼といっしょにトリップしませんか?


(TCC会員 玉山貴康)



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