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《書籍紹介》最強のネーミング/岩永嘉弘 著
2017.9.28
新刊紹介
最強のネーミング.jpg
最強のネーミング

 岩永嘉弘 著

 出版社:日本実業出版社

 発行日:2017年8月31日

 定価:1,728円(税込)







「ネーミング」には、あまりいい思い出がない。

会社に入って間もない頃、経験のないコピーライターに降ってくる仕事といえば、とにかく案数が必要とされていた「ネーミング」作業でした。冷蔵庫や掃除機の名前、その冷却システムや新しいモーターの名前、その機能をつくる部品の名前、その部品をつくる機械の名前、その機械がある工場の名前...と毎週のように何かしら「ネーミング」を考えていたような気がします。それだけやれば、少しは上達しそうに思うけれど、自分の案が採用された数は、ゼロ。「ネーミング」の考え方を丁寧に教えてくれる先輩がいてくれるわけでもなく、ただやみくもに言葉遊びをして数を稼ぐだけ...。誰かに褒められることもなく、苦手意識だけが募るばかりでした。

もし、あの頃、『最強のネーミング』が本屋の棚に並んでいるのを見たら、速攻飛びついていたはずです。

ただ、仕事上なんらかのネーミング作業に追われている人が、てっとり早くお手軽に「最強の名前」が思いつけちゃうアンチョコ本のつもりで読み始めると、確実に失敗します。なぜって、あまりに面白すぎて仕事を忘れて読みふけってしまうから。

序章を読み始めた途端、『ハリー・ポッター』シリーズの呪文の分析が始まるなど、とにかく「名前」にまつわる小ネタの量が半端ではありません。ページをめくるたび「へぇ、そうなんだ」と呟くことになり、「これ、使えるなぁ」と思って引いた赤鉛筆でページのほとんどが赤く染まることになります。

「日本酒」のネーミングをつぶさにみていけば、それはまさに日本人の味覚史ともいえるものになるし、古今東西の「ロックバンドの名前」の背後には、そう名付けたアーティストたちの意図とセンスがあり、そのセンスを磨いたムーブメントがあり、そのムーブメントを導いた時代があり...それは、まさに若者たちの言語感覚のヒストリーそのもの。

ビールやクルマのネーミングの潮流を追いながら、現在のトレンドや業界動向までしっかりキャッチできてしまうあたりはまさに岩永節の面目躍如といったところでしょうか。

大ヒットした本・映画・ゲームの名前にまつわる考察は「なるほど!」と膝を打つことしきり(新旧『君の名は』と『君の名は。』のヒットの秘密などなど)、扱う作品があまりにマニアックすぎて笑ってしまうこともしばしば。

◎「ハッピーターン」という名前は、開発当時第一次オイルショックの影響で不景気だったので、ハッピーが戻ってくる(ターン)という願いを込めてつけられたという逸話がある。◎アンデスメロンはもともと「安心ですメロン」だった。◎Wikipediaの「Wiki」はハワイ語で「速い」...などなど、「へぇ、そうなんだ」を挙げたらキリがありません。

そして、岩永さんの事例選択のセンスがいちばん実感できるのは、「ネーミングとはマーケティングである」という章で「人参」を取り上げているところ。この本を読むまで、人参にもトレンドがあり、今、日本全国でどんな品種が流通しているかなんて全然知りませんでした。差別化が難しい人参マーケットの中で、「名前」がいかにして「ブランド」になっていくか。『彩誉(あやほまれ)』というブランドを育てた徳島県の生産者さんの「熱い思い」が語られています。

もちろん、「最強のネーミング指南書」として、《ネーミングの準備五箇条》や集めた言葉を売れる名前にまで高めていく方法《ネーミング4大サンプリング方法》、さらには「あんぱん専門店」のケーススタディなどの「HOW TO的要素」も丁寧に説明されていて、初心者でも本書の手順に従っていけばアッと驚くようなネーミングができるようになっています。でも、岩永さんが「ネーミング」でいちばん大切にして欲しいと思っていること、それは「商品に愛を持たなければ始まらない」ということ。

日々、登場する新しい商品名、街々を埋め尽くす看板の名前の背後には、必ずその名前を付けた意図と歴史とメッセージが隠れていて、愛情をもって世に出している人がいる。「へぇ、そんなんだ」と読み進めていくうちに、そんな当たり前のことに気づかされると同時に、自分がいかに名前というものに不感症になって、名前の意味するところを考えようともせずに受け入れてしまっているかを痛感しました。

あらゆる名前の向こうには、必ず、命名者の熱い思いと愛がある。

『草刈機まさお』『伝導よしみ』(いずれも農業機械)、『男前豆腐』『風に吹かれて豆腐屋ジョニー』、『辛口ばっか飲んでんじゃねえよ』『ワイルドサイドを歩け!』(いずれも日本酒)。どれもこれもちょっと変わってるということ以上に、可愛いわが製品をひとりでも多くの人に知ってほしいという「愛」が溢れているじゃないですか。

そう思うと、新入社員の頃、自分は担当する商品にどれだけ愛をもって接していたことか...。採用されなかったのも当然といえば当然です。

ネーミングは「愛」なくしては語れない。

いやはや、どのページからも「ネーミング」に対する岩永さんのただならぬ「愛」を感じました。

岩永さん、本当は『最愛のネーミング』ってタイトルにしたかったんじゃないですか?

(TCC会員 野澤友宏)



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