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2014.8.13
対談
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「TCC TALK LIVE」、第二回目は今年のTCC賞及びTCC最高新人賞を受賞した6名、秋永寛さん、久山弘史さん、小山佳奈さん、古川雅之さん、山口広輝さん、山﨑博司さんによるトークセッションです。同じく今年の受賞者である岩田純平さんを進行役に、フレッシュな顔ぶれによる楽しい話が繰り広げられました。


岩田
ここ数年、TCC賞は大きなキャンペーンを手がけた方が受賞することが多くて、結果的にそういった人たちが賞を独占する傾向が続いていました。そんな中、今年は新しい顔ぶれというか、少し若い世代の方々が受賞されたので、今日は「ちょっとだけ新世代」というテーマで6人の受賞者の方とトークをしていきたいと思います。ではまず、みなさんのご紹介から。最初はJR東日本企画の山口広輝さんです。山口さんはJR SKI SKIの「ぜんぶ雪のせいだ。」というコピーで受賞されました。

山口
山口です。よろしくお願いします。

岩田
山口さんはコピーライターになって何年目なんですか?

山口
僕はもともとコピーライターではなかったんです。最初にプロモーションの部署に3年、次に営業に3年、それから転局試験を受けてクリエイティブに移りました。なので、コピーライターになってからは10年くらいです。

岩田
まだぜんぜん若手ですね。「ぜんぶ雪のせいだ。」というコピーはどうやって思いついたんですか?

山口
2年前にJR SKI SKIのテレビCMが6年ぶりに復活した時に「青春は、純白だ。」というコピーを書きました。それが思ったよりも評価されなくて(笑)、TCC的にも年鑑掲載止まりだったんです。ただ、ひとつ発見があったのは、一般の人が雪山で撮った写真に「青春は、純白だ。」って入れて、ネットにどんどんアップしていたんです。それで2年目はみんなの合言葉になるような言葉が欲しいなと思いました。「青春は、純白だ。」って結局はレトリックだし、きれいな言葉や順目の言葉では1年目を超えられないと思ったんです。糸井さんの「昼間のパパは光ってる」というコピーは「夜中のパパは光ってる」に転用されることを狙っていたと谷山さんの本に書いてありましたが、「ぜんぶ雪のせいだ。」も「ぜんぶ部長のせいだ」とか「ぜんぶ酒のせいだ」みたいに変えて遊んでもらえるんじゃないかと思いました。

岩田
最初から転がしやすいフレームで書いていたんですね。

山口
そうですね。でも大雪が降ったのはほんとうに予想外でした。あの大雪でコピーがどんどんひとり歩きしていって。

岩田
「ぜんぶ雪のおかげだ」ですね(笑)。

山口
同じことをこの前谷山(雅計)さんにも言われてしまいました。

岩田
最大の賛辞だと思いますよ。でも、このコピーは審査会でも大人気で、ワイルドカードが4つも集まったんです。4つというのはこれしかないんですよね。二次審査が終わる頃にはもう「これ通るね」という空気になっていました。というわけで山口さん、今日はよろしくお願いします。続いては久山弘史さんです。久山さんはナイキの「宣誓!我々は、と言うか、僕に注目してください。」で受賞されました。これはかっこいいCMですよね。

久山
ナイキってサッカーやランニングに比べて、野球はそれほど強くないんですね。それで今年は野球に力を入れるぞという流れの中で、ナイキらしいPOVを確立したいというのがブリーフでした。それと、その年にWBCがあって、日本の野球が注目されるという状況もありました。ナイキはここ10年くらい部活キッズを応援するというのを大きなミッションとして掲げているんです。

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岩田
POVというのは?

久山
ポイント・オブ・ビュー。視点ですね。

岩田
なるほど。この企画はどうやって考えたんですか?

久山
僕が当時在籍していたWIEDEN+KENNEDY TOKYOという会社は日本人と外国人が一緒になって、話し合いながら企画を考えるというスタイルなんです。だから、誰か一人が考えたという感じがなくて、みんなでワーワー言って形になったという感じです。

岩田
外国人が選手宣誓の話をするんですか?

久山
するんです。それがすごくおもしろいなと思って。彼らは日本の野球をすごく勉強していて、高校球児が冬でも朝練していることに驚いている。僕らからするとそんなに驚きはないけど、外国人は「すげえ」と。そこまで捧げている球児たちはもっと自己主張すべきで、控えめにしているのはおかしいというのがそもそもの着眼点なんですね。そういった視点は外国人ならではだと思います。

岩田
なるほど、久山さんありがとうございます。続いて、電通関西支社の古川雅之さんです。古川さんはキンチョウ「サンポール」のTCVMとウェブムービーで受賞されました。僕はこれがほんとうに大好きで、ワイルドカードにも選ばせていただきました。「彼女が、黄ばんだ便器にサンポールで書いたサヨナラの文字は白かった」という歌は古川さんがつくられたんですか?

古川
そうですね。サンポールにはポイント・オブ・ビューはないんですけど(笑)、コマーシャルをつくって欲しいという話が最初にありました。サンポールって昔から言うことが決まっていて、「酸が効く」「便器の黄ばみが取れる」だけなんです。それをいかに目立つように伝えるかしかないんですね。予算的なこともあって、歌でキャラクターをつくろうと決めて、CDの中治(信博)さんと僕で歌詞を考えて、ADの藤井亮君が絵を描いて、中治さんが歌って。ほとんど文化祭のノリでつくっています。

岩田
楽しそうですね。

古川
楽しかったですね。だからコンテもほとんどないんです。一枚絵で。

岩田
その場で実演しているんですか?

古川
歌詞をたくさん考えて、20曲くらいをその場で歌って、おもしろいものだけを形にします。そういうやり方を許してくれるクライアントさんだということもあるんですけど、やっぱりやってみないとわからないので、いつもたくさんつくります。結果おもしろい15秒CMが5本できたのでよろこび勇んで持って行ったら「1本でいい」と(笑)。もったいないと思ったんですけど、絵が同じで歌が違うだけなので、ウェブにアップするだけではそんなにサービスにならない。それでウェブ用の設定を考えて、4分20秒と長いんですけど、飽きない工夫をしました。

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岩田
5本の中から1本を選ぶのはクライアントさんの判断ですか?

古川
はい。

岩田
古川さん的にはこれがいちばん気に入っているんですか?

古川
どうでしょうね、好きですけど、他にもおもしろいものがあったと思います。でも、これがいちばん物語的というか。

岩田
ちょっと泣ける感じがありますよね。

古川
ないですないです(笑)。これ見て泣く人はいないんじゃないですか(笑)。

岩田
古川さん、ありがとうございます。続いて電通の小山佳奈さんです。小山さんはエイベックス・エンタテインメント「dビデオ」のTVCM「女子やない、女や。」で受賞されました。このCMは僕のまわりの若い人にも大人気で、TCCの審査後に会社に帰って、dビデオがTCC賞に入ったという話をしたら、「受賞したんですか!やったー!」みたいな反応で。べつにその仕事に関わっているわけじゃないのに(笑)、愛されてるなと思いました。これは小山さんがプランナーもやっているんですよね?

小山
そうですね。もともとはdビデオのデビューキャンペーンとして、髙崎卓馬さんがデ・ニーロのCMをやっていて、そのあとにひと月に一度のレギュラー広告を提案していたんです。最初はグラフィックだけ提案をしていたんですが、その途中でCMもつくって欲しいと言われて、プランナーをやらなきゃいけなくなっちゃって。「どうしよう・・・」と思いました。最初に思ったのが、人がケータイの画面を見ている姿はあんまりきれいじゃないなと。でも、それが文庫本を読んでいるように見えたらいいんじゃないかと思って、田舎の女子高生という風景が浮かんだんです。

岩田
小山さんはプランナーもできるんですね。

小山
デ・ニーロのあとだったので、みっともないものをつくったら髙崎さんに怒られると思って。怖かったんです。

岩田
髙崎さんがいなくてよかったですよね。

小山
それは予算の問題とかもあるんです。タレントにお金を使う余裕もなかったし、女子高生役の女の子もオーディションで選んだりして、地味にやってました。

岩田
小山さん、ありがとうございます。では続いて、電通の秋永寛さんです。秋永さんは北斗の拳の新聞広告「エラそうに新聞なんて読みやがって!!!」で受賞されました。これは北斗の拳30周年の広告なんですか?

秋永
そうなんですけど、紙面に小さく「北斗の拳に夢中だった愛すべきガキどもへ。新エピソード、ついに執筆。」って書いてあるように、「30周年ありがとう」というより、あたらしいのが始まるから買ってねという広告なんです。井上雄彦さんがスラムダンクでやっていたような、いわゆる「ありがとう広告」というのも考えたんですけど、よくある感じになっちゃうので、ザコキャラがいっぱい出てくるのにしようと思いました。

岩田
秋永さん、よろしくお願いします。では最後にTBWA/HAKUHODOの山﨑博司さんです。山﨑さんは日本新聞協会の新聞広告「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」で最高新人賞を受賞されました。これは新聞協会のコンテストだったんですよね。

山﨑
そうですね。テーマが「幸せ」でした。

岩田
幸せがテーマでよくこういう形に定着させましたね。

山﨑
今は価値観が多様化しているので「これが幸せです」と提示しても伝わらないんじゃないかと打ち合わせで話していたんです。読んだ人が「幸せって何だろう?」って考えてくれるようなものがいいなというところから企画が始まりました。

岩田
難しいことを考えましたね。

山﨑
偶然もあるんです。その時にシリアの戦争や北朝鮮の問題が報道されていたんですけど、アメリカや日本の視点からの一方的なニュースしかなくて、それに違和感を覚えたんです。桃太郎というのも結局は桃太郎側の視点からしか描かれていないので、そういう物語を借りて話をしたほうがわかりやすいと思いました。べつに戦争反対を訴えたいわけじゃないんですけど。

岩田
これはアートディレクションもいいですよね。

山﨑
後輩のADなんですけど、僕が先にキャッチを出したら、次の打ち合わせにこのデザインが上がってきました。でもギリギリまでおさえのコピーが決まらなくて。

岩田
おさえがあるんですね。

山﨑
『一方的な「めでたし、めでたし」を、生まないために。広げよう、あなたが見ている世界。』というコピーが小さく入っているんです。

岩田
なるほど、おさえのコピーを読むと、先ほどのシリアの話がなんとなくわかりますね。この作品は最初の投票からダントツ一位で、そのあとに最高新人賞を決める投票でも圧倒的に一位でした。

という感じで今日はこういうメンバーで進行していきたいと思います。ちなみに僕もJTさんの「Roots」でTCC賞をいただいております。


どこで考えていますか?

岩田
今日は事前に投げかけていた質問に対して、みなさんが回答を発表するという形式で進めていきます。最初は「どこで考えていますか?」という質問から。「喫茶店」という回答。これはどなたですか?

小山
わたしです。

岩田
行く店は決まっているんですか?

小山
いろいろですね。ルノアールとかのチェーン系の喫茶店が好きです。

岩田
ソファーがちゃんとしているから?

小山
おじさんが多いから(笑)。若者よりおじさんがいっぱいいる場所の方がはかどります。

岩田
続いての回答は「フレッシュネス」。

久山
僕です。ずっとジョナサン派だったんですけど、2年くらい前からフレッシュネスバーガーに変わりました。店が広くて、いつ行ってもガラガラなんです。ただ、ちょっと困ったことがあって、よく行く阿佐ヶ谷店があさってで閉店しちゃうんです。

岩田
それは困りますね。ではフレッシュネス・バーガーの情報をお持ちの方はぜひ久山さんに(笑)。では次、「会社のデスク以外に家の洗面所 恵比寿駅周辺」。これは山口さんですか?

山口
そうです。僕は会社のデスクだとあまり集中できないので、散歩がてら恵比寿駅前をぶらついたりして、その間に考えたりしています。歩いたり信号待ちのときとか「考えるでもなく考えている」ぐらいのほうが意外と集中できたりするんです。洗面所もいっしょで、歯磨き中やドライヤーをかけてるときなんかはいい感じに思い浮かびます(笑)。

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岩田
なるほど。では次、「特にここじゃなきゃというこだわりはありません。だけどファミレスは無理」。

古川
僕です。みなさんファミレスとかフレッシュネスとかおじさんとか、いろいろこだわりがあるようですけど(笑)、僕はあんまりないんですよ。みんなが打ち合わせしているテーブルの端でもいい。逆に喫茶店とかファミレスに行くと、他人のことが気になるんですね。「あのおばはん、食べよう思うてなかなか食べへんな」とか(笑)。

岩田
古川さんはひとりで考えることが多いですか?それともみんなで話しながら?

古川
ひとりで考えてみんなで打ち合わせをして、またひとりで考える。その繰り返しですね。

岩田
勝手なイメージですけど、関西の人ってみんなでしゃべりながら、誰かが言ったことから企画を考える印象があります。

古川
そういうのは今ちょっと減ってきましたけど、「さあ打ち合わせを始めよう」という感じではなくて、なんとなく世間話をしているうちに仕事の話になることは多いですね。わりとダラっとはじまるような。

岩田
うらやましい環境です。では次、「家、会社、カフェ、、、禁煙ならどこでも。北斗の拳は、ロケバス」。これは秋永さんですか?

秋永
僕も基本的にはどこでもいいんですけど、タバコだけは駄目なんです。家って書きましたけど、家だと寝ちゃったりするのでなるべく外がいいですね。あとは茅場町のスタバ。オフィス街なので若者がいなくて週末はいつも静か。いつも席が埋まっているんですけど、空いていればすごく居心地がいい。

岩田
北斗の拳はロケバスの中で考えたんですか?

秋永
僕はグラフィックだけじゃなく、映像もやっているので、ロケやロケハンで移動している時に、「このあと帰って打ち合わせなのに、コピーができてへん」みたいな時は、移動中に書くことがよくあります。切羽詰まっている時の方が逆によかったりして。

岩田
いいですね。僕は切羽詰まると言い訳しか考えない(笑)。では次、「会社のデスクと電車の中」。

山﨑
僕です。僕は会社のデスクで考えることが多いんですけど、デスクがすごく散らかっているんですね。でもそれが却って自分の巣みたいな感じで落ち着きます。あと電車の中というのは、移動している時に人を観察しながらコピーを考えたりするんです。

岩田
なるほど。次は僕ですけど、「会社のデスク」。デスクの椅子にずっと座っています。ずっといるので、朝外出して夜戻ってきた後輩に「岩田さん、同ポジですね」って言われたりします(笑)。


どうやって考えてますか?

岩田
では次の質問です。「どうやって考えてますか?」。最初の回答は「①整理→②散らす→③整理→④寝かす→⑤書く」。

山口
僕です。最初にオリエンをいただいた時に、どうしてこういうサービスが必要なのかというところから考え始めて、とりあえず書けるだけ書く。いいものはそんなに出てこないので、一回それを整理するんです。何が足りないのかとか、何でピンと来ないのかをもう一度整理して、そのまま一晩か二晩寝かすとだんだん熟してくるので、それから書き始めるという感じですね。

岩田
寝かせている間に課題を忘れたりしませんか?

山口
同時進行で5本くらい回っているので、ずらしながら寝かせている感じです。僕は思いつくまでに時間がかかるので、あまり無理をしないんです。

岩田
では次、「インサイトを探す」。

久山
僕です。インサイトが何かをうまく説明できないんですけど、インサイトという言葉がない時代から僕はインサイトを探していたように思うんです。とにかくいきなりアイデアを探さないように気をつけています。

岩田
さっきの高校野球でいうと、「もっと目立ちたい」ということがインサイトになるわけですか?

久山
そうですね。まさにそういうことやと思います。

岩田
なるほど。では続いて、「真面目に考えて、不真面目に出す」。これは古川さんですね。

古川
え、こんなこと書いた?(笑)

岩田
書いてます(笑)。

古川
・・・僕、一応真面目に考えているんですよね。でもつくったものを見られると何も考えてないように思われる(笑)。広告の学校に通っていた時に闇雲に表現から考えるなと教えてもらったことがあります。まずは何を言うかを考えろと。なので、商品を買ってきたり、売り場に行ったり、一応そこは真面目に考えているんです。でも出る時はちょっと変な形で出てしまう。

岩田
それが「真面目に考えて、不真面目に出す」ということですね。真面目に考えて真面目に出すことはないんですか?

古川
真面目に出すこともあるんですけど、あんまり向いてないんですね。そういう育ちじゃないので無理がでる。真面目にしなきゃいけない時でもちょっと不謹慎なことを言ってしまう、みたいな。

岩田
はい、続いてはこちら。「コピーを書く時は映像的に。映像を考える時はコピー的に」。

小山
わたしです。この質問を受けて気づいたんです。グラフィックの時は絵として見て素敵なものがいいなと考えていて、逆にCMなどの映像を考える時は言葉やセリフが残ったらいいなと考えているなと。

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岩田
dビデオだったら先にセリフが浮かぶわけですか?

小山
そうですね。こういうセリフが残ったらいいなとか。

岩田
「女子やない、女や」とか?

小山
それもそうだし、「いいよね、奇跡って。馬鹿っぽくて」とかも。その人のキャラクターが残るようなセリフをいろいろ考えてましたね。

岩田
では次は「A4の紙に思いついたことを必死に書いていく」。

秋永
僕はA4の紙を持ち歩いているんですけど、その紙に落書きみたいにぎっしり書いてから清書するんです。清書をする時に客観的に見直すことができて、おもしろいかおもしろくないかがよくわかるので。

岩田
紙だとなくしたりしませんか?

秋永
なくさないようにしてます。でも、たいしたことは書いてないのでなくしてしまったら、もう一回やり直せばいいだけなんですけど。

岩田
はい、次は「はじめは切り口を増やすことを意識しています。その中であたらしく見えるか、自分はどうしたいか、などを考えていきます」。

山﨑
みなさんと基本的には同じなんですけど、始めに切り口をいっぱい探して、それから寝かせるという作業をしています。でも僕の場合まだ寝かせておいてもおいしくならないんです。書いたコピーを見て、ぜんぜん駄目だなと反省して、自分が何をしたいかとか、自分はこの商品が好きだろうかとか、いろいろ考える。それから書き始めると、いいコピーになるんじゃないかと思っています。

岩田
なるほど、すごく哲学的な書き方ですね。

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アイデアが出ない時は、どうしますか?

岩田
では次の質問です。「アイデアが出ない時は、どうしますか?」。最初の回答は「場所を変える」。

久山
僕です。フレッシュネスから上島珈琲に行って、そこからジョナサンに行ったり。3ヶ所くらいローテーションで。

岩田
場所が変わると何か思いついたりしますか?

久山
何か注文しなくちゃいけないから、少なくともテーブルには向かうことができる。僕も昔はタバコを吸っていたので、吸いながらだと2時間くらい考えられたんですけど、今は45分くらいが限度。それで場所を変えたくなるんです。一カ所に座っているのが苦手なんですね。今ここに座っているのもけっこうつらいです。

岩田
なるほど。では次は「振り出しに戻る」。

山口
僕です。アイデアに詰まると、何を言うかより、どう言うかばかりを考えるようになってしまう。それで、考える視点がぜんぜん違うなと感じたら、一度振り出しに戻ってそこからまた考え始めます。

岩田
オリエンシートに戻る感じですか?

山口
そうですね。ただオリエンシートが信用できないこともあるので、「そもそもこのオリエンシートはどういう経緯で書かれたんだろう」みたいなところまで戻ることがあります。

岩田
続いて、「本屋に行って関係ない本を買う。酒を飲みに行く。あした、なにか思つく気がする!締め切りまでにはできるはずだ!と言い聞かせる、とひとまずはあきらめる方向で」。

古川
僕です。考えて出ない時には、もう考えるのをやめます。もう無理やな、出えへんなと、諦めが早い(笑)。で、その場から逃げて好きなことをする。ぶらっと本屋に行ったり、先輩や後輩を誘って飲みに行ったり。考えても出ない時は考えたらあかんのやと思います。考えるのを止めたあとに思い浮かんだりすることもあるので。

岩田
諦めながらなんとなく考えていたりするわけですね。

古川
・・・そうですね。でもほんとうに何にも考えてない時には何も思いつかないんですけど。

岩田
なるほど、では次は「怖い人のことを考える」。これは小山さん?

小山
そうです。監督とかADの怖い人のことを考えます。dビデオの監督は中島哲也さんなんですけど、怖い人なのかなと思っていたらやっぱり怖い人で(笑)。コピーを書いても「ぜんぜんおもしろくないね」って言われて、泣きながらコピーを書くのを繰り返してました。でも、最終的にはとてもやさしい方だということがわかりましたけど。

岩田
プレッシャーが必要なんですね。

小山
そうじゃないとやらないことが自分でもわかっているので、あえて怖い人にお願いしたりして。

岩田
誰が怖いですか?

小山
怖いというわけじゃないけど、髙崎さんは厳しいですよね。というかちゃんとしている。油断しているとすぐ見抜かれる。ADの戸田宏一郎さんもそうですね。

岩田
なるほど。では次。「歩く。家に向かって」。

秋永
帰るってことなんですけど(笑)、諦めるというより、帰る途中まで粘るという感じです。歩いたりして体に刺激を与えると、いいアイデアが出る気がします。家への帰り道の途中でひらめいたりすることが今までに何回かあったので。広告界の巨人といわれる鏡明さんはずっと歩いていたという話を聞いたことがあります。

岩田
ありがとうございます。続いては「寝ます」。

山﨑
僕です。いいアイデアが出ない時は諦めて寝ます。家に帰って寝ることもあるし、会社のデスクで30分くらい寝て頭を切り替えることもあります。

岩田
なるほど「寝る子は育つ」みたいな感じですか。僕は「デスクに座る」です。もともと養命酒というメーカーにいたんですけど、メーカーの社員というのはデスクに座っていれば仕事をしていると見なされるので、とりあえず座っています(笑)。

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広告を考える際に大切にしていることは何ですか?

岩田
では続いての質問に移ります。「広告を考える際に大切にしていることは何ですか?」。最初の回答は「広告する商品をよく知ってから考える」。

古川
はい。いきなり企画を考え始められないということもあるんですけど、売り場に行って商品を自分の目で見たり触ったりしないと何も思いつかないんです。

岩田
さっきの真面目に考えるという話ですね。サンポールなんかも買うんですか?

古川
買いますね。売り場も見たりします。商品を一生懸命つくっているクライアントさんに「この前売り場に行ったら、こういうのを売ってました」という話ができるようには心がけています。なので浣腸の仕事とか来たら嫌やなと思いますね(笑)。

岩田
次は「ブランドの意思」。これは久山さんですか?

久山
ナイキはほんとうに特殊な会社で、ブランドの真ん中に揺らぎのないものがあるんです。考えたことに対して「それはナイキっぽくないね」って言われたら、何も言い返せない。

岩田
そういうものがない会社もありますよね?

久山
というか、ないことの方が多いです。そういう時、昔は自分ででっち上げるみたいなこともしていたんですけど、そういうのも違うなと思って。今はブランドの意思はブランドが決めるものだと思っています。

岩田
なるほど。では次、「思いやり」。

山口
僕です。この仕事をしていると、いろんな局面に遭遇しますけど、最後はやっぱり思いやりじゃないかと思うんです。たとえば駅貼りのポスターをつくる時でも、広告として成立させることはもちろんですけど、それ以上にそのポスターを見る人の気持ちになって考えることが大事だなと。あと、プレゼンをする時でも担当者の方が上司に通しやすいように企画書を書くとか。そういう思いやりが大事だなと思っています。

岩田
では続いて、「感覚的に好きって言ってもらえるかどうか」。

小山
広告って一生懸命見てもらえるものではないので、「いいな」って言われるよりも「好き」って言われるものがつくりたいなと思います。古川さんのサンポールはそういう意味ですごく好きですね。

古川
嫌いと言われることも多いです(笑)。

小山
一次審査を家でやってて爆笑しました。「これ、グランプリだ!」と思って。そういうふうに人が「好き」って思うようなものをつくりたいと思います。

岩田
では次、「広告を届ける人のことを考えること。どう感じてもらいたいか、または自分はその商品やブランドをどうしたいのかを考えること」。

山﨑
僕です。小山さんと同じで広告は基本的に見てもらえないものと思っているので、広告を届ける人のことを考えるようにしています。あと、その商品やブランドを自分が好きになるにはどうすればいいかを考えるようにしています

岩田
なるほど。では次の回答、「ハッとしてグー」。

秋永
「ハッとしてグー」というのは広告が世の中に出た時の反応ですね。そういう反応を大事にしなさいと教わりました。まあハッとしてくれたら、あとは好きでも嫌いでもどっちでもかまわないですけど。

岩田
嫌われてもいいんですか?

秋永
嫌いというのもそこに何かしらのコミットメントがあるわけですから。アントニオ猪木のビンタも「ハッとしてグー」に近いなと思いました。痛いのになぜかよろこんでしまうところが。

岩田
続いて、「商品が売れること」というのは僕です。メーカー出身の僕としては商品が売れた方がうれしいという話です。


自分の転機になった仕事ってありますか?

岩田
では次の質問に移ります。「自分の転機になった仕事ってありますか?」。最初の回答です。「グーグルの本社は、田舎にある」。

山﨑
はい。毎日広告デザイン賞に応募して、奨励賞をもらったんですけど、初めて褒めてもらった仕事です。「ふるさと」がテーマだったんですけど、新しい視点で提示することをこの作品で学びました。

岩田
視点がいいし、具体的ですよね。では次、「エキナカのコピー」。これは山口さんですね。

山口
TCCの新人賞をもらった仕事です。全部で8本くらいあるんですけど、3本くらい書いた時に、別件で仕事をしていた一倉さんにコピーを見てもらったんです。そしたら「よく書けているけど、これだけの量を読んでもらうにはちょっとサービスが足りないね」と指摘されて。「テレビやネットや本とか、競合がいっぱいある中、広告を読んでくれた人がホンワカするとか、何か気持ちを動かすようなことがないと駄目だね」と。そのあとに書いたのが「僕が家で朝メシを食べないのは、妻が起きないせいじゃない。」というコピーです。結果的に新人賞をもらえたので、一倉さんに感謝しています。

岩田
ありがとうございます。次は「マクセル」、久山さんですね。

久山
はい。これは2007年の仕事で、廃校になる小学校を撮影したドキュメンタリーCMです。子どものインタビューから演出までぜんぶ自分たちで手づくりでやって、すごく楽しい仕事でした。こういうのをまたやりたいとずっと思っています。

岩田
これはドキュメンタリーの手法のはしりのようなCMですよね。商品のDVDにちゃんと落ちているのも素晴らしいと思います。続いては「梅の花」、古川さんですね。

古川
僕が福井新聞のグラフィックでTCCの新人賞をもらったのが40歳の時でした。それまではどんな仕事でも賞を狙っていたんですけど、新人賞を取ってからはその気持ちもだんだん薄れてきた。「梅の花」も最初からすごくおもしろいものを狙っていたわけではないんです。メニューと店内を映したふつうのCMをつくりたいような話だったので、まずはみんなで何回かお店に行ってみたんですね。で、その時に思った「旅館みたいやなぁ」というのと「価格設定が、安い居酒屋と高級割烹のちょうど間くらいやなぁ」というのをそのまま歌にしてみたんです。それを社長にプレゼンしたんですけど、初めてお会いするのに怒られるかなと思ったら意外とよろこんでくれました。これはACCで思いがけずグランプリをいただいたんですけど、審査会で何回決選投票をしてもこれになったと聞きました。「ほんとうにいいですね?」「最後にもう一回聞きますよ」って何度やり直してもこれになると。投票を何回もやり直すってどういう意味なんかなと思うんですけど(笑)。でも、自分で狙って飛ばそうと思わなくても、予想外に飛ぶ時があるんだなと思って、そういう意味で転機になった仕事です。

岩田
ありがとうございます。では次、「デ・ニーロのdビデオ」。これは小山さんですね。

小山
この仕事をしていて、うまくいかないことがあると、つい誰かのせいにしてしまうことがありますよね。環境とか予算のせいに。でもdビデオで髙崎さんのやり方を見て、それって単に自分の考えが足りなかっただけだなと思ったんです。今まで自分は何をやっていたんだろうと思って。髙崎さんの仕事なんですけど、そういう意味で転機になりました。

岩田
では続いて、「GREEとトヨタiQ」。

秋永
僕です。GREEは岸部シローさんが出演したCMで「金はない。時間はある。」というコピーです。これは最初の打合せでコピーが決まった。コピーってうっかりすると、CMの企画が決まってから、「コピーどうしよう」みたいになることが多いんですけど、GREEではコピーからCMが企画されたり、いろいろ広がったという点で転機になったと思っています。iQはクルマにドリフト駐車させたり、空き缶蹴らせたり、トヨタさん的にはありえない企画なんですけど、ウェブムービーだからやってみれば?という話になって、つくらせてもらいました。できあがったものを見てもらったら「これいいな」と。結果的にテレビでも流れて、グローバルでも流れました。企画書だけでは理解されないことも多いので、やっぱりつくってみるというのが大事だなと。一度プロトタイプをつくってみるという動きも最近は出てきたように思います。

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岩田
なるほど一度つくってしまうんですね。


好きなコピーは何ですか?

岩田
それでは次の質問です。「好きなコピーは何ですか?」。まず最初の回答、「愛に雪。恋を白。」、これはどなたですか?

山口
僕です。これはうちの会社から一倉さんにお願いしたものです。今やっているJR SKI SKIのフォーマットはここから始まったと思うんですけど、スキーの仕事をしているとこのコピーが目の上のタンコブのように存在しているんですね。「雪」と「白」は駄洒落としてもう使えない。かなり大きな領土を取られています。

岩田
なるほど。「ぜんぶ一倉さんのせいだ」というわけですね(笑)。

山口
今やっている仕事の原点という意味で、リスペクトも含めて好きです。

岩田
では次、「ベンザエースを買ってください。」「つまらん。おまえの話はつまらん。」、これは?

古川
はい。僕はふたつあって、どっちも好きなコピーなんです。ベンザエースについて言うと、ふつうは商品を買ってもらうためにいろいろ考えるわけですけど、この言い方は身も蓋もないというか、こんなコピーを書かれてしまうと、これ以上言うことがなくなってしまう。「つまらん」は僕らがふだんつくっている広告自体が基本的にはつまらないものだという、ものすごくほんとうのことを言っていると思って。やっぱりほんとうは強いという意味で選びました。

岩田
ありがとうございます。では次、「地図に残る仕事」。

山﨑
僕です。学生時代に建築をやっていたので、このコピーが好きなのかもしれません。価値観を変えているというか、その仕事をしている人が誇りを持てるコピーというか、お父さんが子どもに向かって、「地図に残る仕事をしているんだよ」と言っている姿が見える。その視点が好きです。

岩田
いいですよね。では次、「童貞と天才は十代の夏に捨てられる。」

小山
わたしです。まず「童貞」という言葉を広告のコピーに使っていいんだと驚きました(笑)。これはサントリーのウイスキーのコピーなんですけど、一見ウイスキーとぜんぜん関係がなさそうで、でも言葉としてかっこいい。理屈じゃなく感覚的にウイスキーの奥深さを伝えられるんだと思って。

岩田
僕もこのコピーは覚えていたんですけど、ローヤルのコピーだったんですね。なんでローヤルなんだろうと今思ってしまいましたが。では続いて、「Hate Something, Change Something.」。

久山
これはイギリスのホンダがつくったCMのコピーなんですけど、4つの単語、しかもぜんぶ平たい言葉でズバッと言い切っている。そこがすごいと思って、お手本にしています。

岩田
価値観を変えるような言葉ですね。はい、では次、「WAR IS OVERIF YOU WANT IT」、「カンチ、セックスしよ」、「マイブーム」。

秋永
僕です。「WAR IS OVER!  IF YOU WANT IT.」って「WAR IS OVER!」が大きく書いてあって、その下に小さく「IF YOU WANT IT」ってレイアウトされているんですけど、ここで大事なのは「IF YOU WANT IT」ですよね。「戦争は終わるよ、おまえらが望めばね」って突きつけている感じ。そこは広告のコピーにも通じるなと思っています。

岩田
「カンチ」は?

秋永
これは『東京ラブストーリー』に出てくるセリフなんですけど、うまく機能すればセックスみたいな言葉を使ってもいいと思うんです。広告業界にいるとタブーを前提として受け入れて、そういうものを書かないようになるけど、一度常識を外して考えることも大事だと思って。さっきの「童貞」と一緒ですね。

岩田
あとは「マイブーム」。

秋永
これはみうらじゅんさんが考えられた言葉ですけど、すごく簡単な言葉で世の中に広がっている。こういう言葉をつくれたらいいなと思います。


つくりたい広告はありますか?

岩田
では次の質問です。「つくりたい広告はありますか?」。ひとつ目の回答は「ナイキ」。

秋永
これは僕です。さっきの選手宣誓もかっこいいと思いましたが、ナイキとワイデンでブランドの意思を築き上げているのがすごいなと思って。ナイキのようなちゃんとブランドをつくりあげていく仕事をやってみたいと思います。

岩田
なるほど。では次、「国民的ヒット広告」。

山口
僕はジェイアール東日本企画というローカルな会社にいて、ふだんは東日本エリアだけでしか流れないような仕事をしているんですけど、今回の仕事で自分の考えた言葉が自分の手から離れて、口の端に上ってどんどん広まっていったり、ネットで話題になったりするのがすごくおもしろかったんです。日本国民全員が知っているような仕事をしたいと思います。

岩田
ありがとうございます。続いての回答は「会話劇」。

久山
僕です。もともと会話劇をつくるのが好きだったんです。でも、最近はそういうのをぜんぜん考えていないなと思って、ということです。

岩田
なるほど、続いては「ゆたかな広告」。

小山
ちょっと懐古趣味みたいですけど、昔の広告を見ているとゆたかな世界があったと思うんですね。そのCM1本やコピー1本で、いくらでも物語が広がっていくような、圧倒的な世界を持つものたちが。今はそういう余裕をなかなか持てないけれど、昔のように懐の深いものがつくれるといいなと。


岩田
80年代の広告とかそうですね。その話題だけで2時間くらい話せてしまいそうですが。では次、「社会に問題提起を投げかける広告」。

山﨑
僕です。先ほどもブランドの意思という話が出ましたけど「我が社はこういうブランドです」とか、「こういうことを考えています」ということをきちんと伝えられる広告をつくってみたいと思っています。

岩田
次は、「ありますよ」。

古川
すいません、「つくりたい広告はありますか?」って聞かれたので、何も考えないで「ありますよ」って答えてしまいました(笑)。僕はあまり立派なことは考えてなくて、わりと毎回出会い頭な感じです。その都度その都度クライアントさんの思いや担当者の方の考えが違いますし。自分の作風とかはあまり考えないようにして、世の中にウケるものを、それで結果クライアントさんがよろこんでくれるものを、まずは考えるようにしています。でも基本的には難しくない、おもしろいものをつくりたいですね。

岩田
ありがとうございます。では最後に僕は「甘酸っぱいもの」。甘酸っぱい広告がつくりたいなという、まあ、そういうことです、はい。


最近見た気になるコピーは?

岩田
では、続いての質問です。「最近見た気になるコピーは?」。最初は「青春ほどの難問はない」。これは飲料のMATCHのコピーですね。

山口
JRで青春恋愛ものをやっているんですけど、僕がつくっているのはどちらかというとストレートな甘口の世界で、MATCHとか小山さんのdビデオなんかはそんなに甘くない。もちろんJRの場合は甘いものがいいと思ってつくっているわけですけど、たまにはもうちょっと辛口のものもつくってみたいなと思って。特にMATCHはこのタグラインがすごくいいと思いました。このコピーってCMではスーパーで出てこないんです。ナレーションだけなのに印象に残るのはすごいなと。

岩田
いいコピーですよね。続いては、「あ、般若ってる!」。

古川
これはスマホばっかり見ていると顔にしわが増えて、般若みたいな顔になるっていう美容系のクリニックのポスターなんですけど、電車の中で見て、思わず二度見しました。小さく「4月8日は表情じわの日です」って入ってて、それもかなり狙ってつくったんだろうなと思って。思わず覚えてしまったので、これを選びました。

岩田
すごく機能してますよね。では次、「やらない謙虚より、やる純情」。

小山
これはアースミュージック&エコロジーで児島令子さんが書かれたコピーです。さっきの話と一緒で、一見服とは関係のないコピーなんですけど、服を着る人の生き方とかスタイルを感じることでその先のブランドの佇まいを深く表現されていて、すごいなと。そういうことってすごく大事だと思います。

岩田
簡単なように見えて、すごく難しい言葉ですよね。では次、「オサレ競
泳水着」。

秋永
僕は「オサレ星人」は最初そんなにいいと思わなかったんです。

岩田
すごいことを言いますね(会場笑)。

秋永
(笑)。でも、「オサレ競泳水着」みたいに展開して、しかもみんなが楽しそうに仕事をしている感じがすごく出ている。そこがいいなと思いました。

岩田
はい。続いて、「コカコーラのネームボトル」。

山﨑
これはペットボトルのラベルに人の名前が入っているんですけど、すごく効いているなと思って。

岩田
すごく売れているらしいですね。

山﨑
結婚式で新郎新婦の名前のボトルを送っている写真がフェイスブックにアップされていて、ふつう結婚式でコーラなんか贈らないのに、すごいなと。あと、昨日会社で「わっ」っていう声が聞こえたんですけど、その人の机の上にコーラが置かれていて。すごく広がっていると思いました。

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岩田
どうでもいい話ですけど、これ在庫はどうなっているんですかね。では次、「あきらめてどうすんだよ」。

久山
僕です。これ、広告のコピーじゃないんです。東洋大学の駅伝チームの練習風景を見に行ったら、当時キャプテンだった柏原竜二選手が遅れている新入部員に怒鳴っていたんです。それが「あきらめてどうすんだよ」。僕の中ではスラムダンクの安西先生の「あきらめたらそこで試合終了ですよ」を超えましたね。あきらめないことがデフォルトになっているメンタリティーがすごいなと思いました。

岩田
次、「大切な大切な仲間なんだ」。これは僕です。AKBの握手会で事件が起こった直後、メンバーたちはSNSとかで何の発信もしてなかったんですけど、二日後くらいに川栄李奈さんが「大丈夫です」ってメッセージを出した。そしたらAKBのメンバーが堰を切ったように「大丈夫?」とか「わたしに何ができるんだろう」とか、自分の想いを書き始めたんです。それがなんかもう長ければ長いほど友達想いみたいな風潮で。そんな中、島崎遥香さんはみんなで手をつないでいる写真に「大切な大切な仲間なんだ」ってだけ書いたんですね。それがまあ、ぱるるという人の人柄とかとも相まってちょっと感動したんです。何を言いたいかというと、いろいろ言うよりも一行だけの方が強いなと思った、という話です。


コピーライターを目指す人に、若い人にアドバイスを

岩田
では次が最後の質問になります。「コピーライターを目指す人に、若い人にアドバイスを」。まずは最初の回答、「谷山さんと仲畑さんと磯島さんの本を読めばだいたい書けます」。

山口
僕です。いや、ほんとにこの通りだと思って。

岩田
そうですね。僕もそう思います。

山口
僕はTCCで活躍されているような方々が社内にいてコピーを教えてもらえるという環境にいなかったんですけど、谷山さんの黄色い本と、仲畑貴志さんの赤い本と、磯島拓矢さんの赤い本を読めば、もうだいたい書けるんじゃないかと思って。

岩田
あとは髙崎さんの本とか。

山口
そうですね。コピーに関していうと『コピーバイブル』という本もあって、その4冊を読めばだいたい書けると思うし、それでも書けなかったら、それはもう書けないってことじゃないかって。

岩田
では次、「糸井さんの萬流コピー塾」。

秋永
今の4冊で足りなければ、参考にこれを読んでください(笑)。これは週刊文春に連載されていたんですけど、糸井さんが出したお題に対してコピーを投稿すると、そのよしあしを松竹梅で判断してくれるんです。糸井さんの判断基準もすごく勉強になるし、「コピーは短い方がいいよ」みたいなアドバイスもいっぱいあって。あと、ここに投稿している人ってみんなコピーのことが大好きなんですよね。その熱い感じがすごくあらわれていて、熱中できるというのは素晴らしいと思います。

岩田
ありがとうございます。続いての回答は「かっこいい仕事ではありませんが、誰でもなれます。自分の言葉や考えが、広告になって世の中にでていくのは、いくつになっても刺激的です。こんな仕事、なかなかないと思います」。

古川
まさかの僕です(笑)。最後にちょっとだけいいことを言っておくと印象がよくなるかなと(笑)。僕は最初グラフィックのプロダクションに入ったんですけど、入った当日からコピーライターという名刺をもらいました。コピーなんて書けないんですけどね。そういう意味では誰にでもなれる仕事だし、好きで続けていると、誰でもある程度のところまでは行けるので、なりたい人はぜひこの世界に入って、すぐにスタートして欲しいと思います。映画をつくるとか、ミュージシャンになるとかよりもぜんぜんハードルが低いと思います。

岩田
古川さんって最初はグラフィックのプロダクションにいたんですね。そこからスタートする道もありますよね。では次、「日記をつける」。これは僕です。さっき甘酸っぱいのがつくりたいと言いましたが、20歳の頃のことなんて何も覚えていないので、なんで日記をつけておかなかったんだろうと思って。別にブログとかを書いて人に見せるというわけではないんですけど。はい、では次。「1.当たり前のことをコピーで言っても誰にも振り向いてもらえない。2.スタンスを持って書く」。

山﨑
これは僕が師匠に言われたことなんです。基本的に広告は見てもらえないものだから、そういう意識でコピーを書きなさいということ。それから、先ほども言ったように、その商品を自分なりにどう好きになるかを考えながら書きなさい。そのふたつはとても勉強になりました。

岩田
なるほど。では続いて「いきなり世界で」。

久山
元同僚にナオキ君というアートディレクターがいて、彼は日本人なんですけど、ニューヨークでキャリアを始めてそのあとシンガポール、そして東京へ移って仕事をしていました。アートディレクターだからそれができるという見方もありますけど、コピーライターだってネイティブじゃない人がいきなり英語圏に行って仕事を始められるんじゃないかと思って。一見無謀に見えて、やったら意外とできるんと違うかなと。そういう人があらわれてもいいんじゃないかなと思います。

岩田
久山さんが言うとできそうな気がします。では最後の回答です。「つづけていくと楽しいことが増えていくので、がんばって欲しいなと思います」。

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小山
コピーライターって昔のように花形職業じゃないし、若い人がこれから目指そうとするのはいろいろ大変だと思うんです。根気はいるし、辛いこともあるけど、がんばって続けていくと、いいことや楽しいことがあるので、ぜひ長い目で見て続けて欲しいと思います。

岩田
小山さん、ありがとうございます。ということで今日のトークイベントは以上で終わりです。今日は長い時間お付き合いいただいて、ありがとうございました。

(おわり)