リレーコラムについて

ちょいちょい上からモノを言うのよね

安田健一

Dはアメリカに行ってしまった。

Dは世界的な大企業に勤めていて、人事やら労務

やら経理やらで、先月「南部のシリコンバレー」ともよばれる

テキサスに赴任した。Dは大学の後輩だが、

ちょいちょい上からモノを言ってくる。

しかしなぜか怒る気がしない。

そういったDのセンス?に僕はすこし

憧れていた。

Dが中部支社勤務のとき、当時営業マンだった

僕は色々な公募賞のアイディアやコピーを

メールでおくりつけた。

「面白いとは、思うのですが、わかりずらさも・・・」

なんて敬語だったのは、一案目くらいで。

「よくわからない」「そうですか?」
「まあ、絵は面白いですが」

と率直なダメだしになり。

「わかりません」「そうは思わない」
「だめ」
「?」
「(空欄)」
となった。そして、

「つーか、たくさん送らないで、案数しぼってください」

となった。僕は素直にDに従って、案を吟味して提出。

たまに反応がよいときもでてきた。

「まあいいっすね」

「そーゆー風に思うこともあるかな」

飲みながらお互いの近況を話していても、

「まあまあ、がんばってる方じゃないですか。
でも、まだまだ、できるはずですよ」

なぜか、Dに言われると、怒る気がしない。
むしろ期待に応えたくなった。(期待されていたかは、わからないけど)

Dは広告業界の人間ではないけど、当時、営業マンだった僕にとっては

世の中の声兼コピーディレクターだった。

遠慮がなく、率直なDの指摘は、言われてみると納得することも多かった。

Dは会うと必ず「早く本でも出版して、スペシャルサンクスの欄に

おれの名前いれてくださいよ」と言う。

もう10年くらい言われているかも。

「本を通して感謝しろ」なんてさらっと言えちゃうDよ、

すまないけど、まだ出版の話なんてないから、

おまえの名前はDってことにしとくよ。

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