リレーコラムについて

見せるつもりじゃなかった言葉

飯田麻友

「手帳類 図書室」という空間が、
参宮橋のギャラリーの奥に、
ひっそりとあります。

実際に誰かが使っていた手帳が、
大切に、大切に保管されていて、
1時間500円でそれらを読むことができます。

会社の人の紹介でたまたまその存在を知り、
このたび、ふらりと行ってみました。

負けっぱなしのギャンブラーの日記や、
うだつの上がらない若者の手帳、
文学的なプログラマーの手記や、
スピリチュアル女子のノートなど…
そのラインナップは、実にさまざまです。

それらは、
誰にも見せるつもりじゃなかった記録。

なんというか、
あまりにも赤裸々な気持ちが並んでいて、
見てはいけないものを覗く感覚で読み進めていました。

とくに印象に残ったのが、
デートで、彼女を楽しませることができなかったと
後悔を走り書きしている男性の記録。

その文章を、文字を見て、
ちょっとうるっとしてしまいました。
手が、気持ちの焦りに追いついていないというか、
どんどん文字が薄れて、紙の上で泣きそうになっていく。

その文字を見て、
この人は、なんて優しい人なんだろう、
と思ったのです。

ここに書かれている言葉には、
ぜんぶ嘘がない。

自分しか見ないから、
嘘をつく必要がない。

そういう言葉は、
なんて強いんだろう。

よっぽど、こういう言葉たちのほうが、
いいコピーになったりするんじゃないか、
と思いました。

中には、とてもくだらないメモもあるのです。

でも、普通の人の、普通の言葉でも、
本物だから、胸に響く。

どんなコピーを書くときでも、
いつだって、本物の気持ちを探さなければ、
(それがとてもむずかしいんだけど)と、
リアルな人生の記録を読みながら、改めて思ったのでした。

さて、1週間、稚拙な文章にお付き合いいただき
ありがとうございました。

何の計画もなく書きはじめたので、
ただ思いついたことを吐き出すだけの
コラムになってしまいました。。

来週は、会社の同期であり、
新人賞の同期でもある山田英理人くんです。

たくさんの人にバトンを渡そうとするもことごとくフラれつづけ…
ようやく受け取ってくれた天使のような人です。
でも、顔は濃いです。
山田なのに、テルマエ・ロマエな感じです。(愛を込めて)

顔の濃い天使のコラム、とても楽しみです。

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