リレーコラムについて

幻のCMプランナー飲み会

吉兼啓介

若手CMプランナーで飲もうぜ!
なんてこと博報堂ではあるはずがなかった。

その理由は2つ。
1 若手のCMプランナーが少ない
2 CMプランナーは根暗である

デザイナーやコピーライターたちは頻繁に集まって飲んでいる。
なんだかキラキラしていて、羨ましかった。

僕は数少ない、根暗じゃ無いCMプランナーなので
会社メールで招集をかけてみた。
「若手CMプランナーで飲みませんか?」(最若手のため敬語で)

すると、ほとんどの人から
「飲みたい!」という思いがけない返事が。
正直、嬉しかった。

みんな本当は飲んで笑って、好きなCMのこととか、
CMプランナーの未来とか語りたいんじゃないか。
思い切って誘ってよかった…。

そんな僕の想いは、
飲み会開始2分で打ち砕かれることになる。

赤坂の「北海道」という居酒屋を押さえて、
集まった若手CMプランナーは8名ほど。
みなさん疲れているのかテンションが低い。
気を利かした僕の「なんと北海道までやってきました!」
というボケがスルーされ、とりあえずビールで乾杯。
そこから無言タイムが始まる。
焦って話を振るが、全然続かない。
ただ黙々と北海道料理を食べる会になった。

お寺の修業みたいな2時間が終わり、居酒屋の外へ出た。
ではまた!と帰ろうすると、なぜかみんな動かない。
そして、若手最年長の先輩が信じられない一言をつぶやいた。

「もう一軒行こうか。」
他の先輩たちが静かに頷く。

驚きを隠せないまま、隠れ家居酒屋に。
そこでは思いのほか盛り上がった。(ほぼ愚痴や悪口)
みんな人見知りなのか、
打ち解けるのに時間がかかるだけなのだ。

解散のときの言葉が嬉しかった。
「若手CMプランナー飲み会、恒例にしよう!」
「今度は私が幹事するよ!」と言ってくれた先輩もいた。
若手CMプランナーたちの顔は、赤坂のネオンより輝いて見えた。

その夜から、はや2年が経とうとしているが
飲み会の連絡はない。気配すらない。

NO
年月日
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