沈黙の仕方は、
父が教えてくれた。 父には怒られた記憶がない。
無口で、おだやかで、静かな空気をまとった人。
授業参観は父だった。忙しくて気の強い母ではなく。
(こういう人と結ばれるものなのだろう。)
スケジュール帳を開くと、父の日が迫っていた。
「何か欲しいものある?」
しばらくあって、電話の向こうで空気が揺れた。
「お前と飲んでみたい。」
だから今日、
父がたまに行くBARのカウンターに、
二人座っている。
なにを話せばいいのか。
なにを聞けばいいのか。
聞こえるのは、互いがグラスを揺らす音だけだった。
(だからって、ありがとうとか、言えないしな。)
そう。沈黙の仕方は、父が教えてくれた。
父の日に。
親子で行くBAR
サントリー
NO.2017236
広告主 | サントリー |
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受賞 | |
業種 | 酒類・タバコ |
媒体 | 新聞 |
コピーライター | 武田さとみ |
掲載年度 | 2017年 |
掲載ページ | 263 |