リレーコラムについて

4.先生であると同時に生徒である。

味村真一

6月から先生になった。
広告業界ではたらく若手の人に向けてはじめた、コピーの個別指導塾。
受講料は(おそらく)業界初の出世払い制。
月に2回ゲスト講師を招いて、「コピーと〇〇」のテーマを設け、
額縁のすこし外側の世界からコピーのことを一緒に考えている。

開講してみて実感したのは、僕自身がとても勉強になっているということ。
教える行為を通じて、自分がこれまで考えてきた理論を
体系化して整理できるのはもちろんのこと。
ゲスト講師の方々が磨き上げてきた己の武器を
惜しみなく披露してくれ、それを毎回吸収させてもらっている。

ちなみにこれは、第一回で僕が講義した際のワークのひとつ。

コピーは言葉単体で成立するものではなく、ブランドとの「距離」が大事。
ということで、通常とは逆の「コピーに商品をつける」作業をやってみた。

このちょっと特殊なコピー塾を、生徒も面白がってくれている。
教育大学卒業のくせに教師にならず周りをがっかりさせていたが、
学生時代の経験がこんなところで役に立つとは、人生わからない。

 

一方で僕は、10月から生徒にもなった。
TBWA/HAKUHODOさんが主催するスクールに通い始めたのだ。

TBWAさんといえば、パラ卓球台やオールブラックスの渋谷ジャック動画など
戦略的かつ尖ったクリエイティブで知られるエージェンシー。
日米のジョイントベンチャーという点では
僕のいたDENTSU Y&Rと似たところもあるが、
グローバルクリエイティブの実績では雲の上の存在。
その発想法や実現のプロセスを学びたくて受講を決めた。

講義の内容はここでは詳しく書けないが、
毎回、これでもかというぐらい打ちのめされている。
とくに同職種である細田高広さんの回は、
久々に誰かに「圧倒される」経験だった。それがとても嬉しくて、ドキドキした。

 

そういえば大好きな内田樹さんが、本の中でよく言っていることがある。

学びとは、買い物のような等価交換ではない。
学びの本質とは、何を提供してくれるかわからない人のことを
師と仰ぎ、信じることにある。と。(意訳すみません)

勉強において最も大切なのは、「この人から学ぶことがある」と
ある種の誤解のように思い込む姿勢、というお話である。

僕はこの意見に大賛成で、最も人を変容させてくれるのは
周りの人からの刺激ではないかと考えている。

だから仕事仲間も、講師も、生徒も、みんな先生と思いたい。
嫌いな人にだって学ぶ部分はあるし、
反面教師という逆転の発想もあると、これも内田さんの本から学んだ。

 

ちなみに内田樹さんと言えば、
彼がことあるごとにおすすめしている合気道を、
習いたい習いたいと思いつづけて、早10年。
自分の身体が予想外の動きをする驚き、一度体験してみたいなぁ。

来年の目標はMENSA会員になることと決めたのだけれど、
どちらを先にやろうか悩みます。

neuron 味村 真一
mimura@neurontokyo.com

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