ーぐるなび文明論ー
忘れられる人だけが、
前に進める説。 最近の忘年会はただの年末の飲み会になってしまっている気もするが、
その起源をご存知だろうか。そもそも室町時代頃の「としわすれ」という
行事がそれにあたると言われている。ずいぶん古くからあるものだ。
似たような行事は欧米には見当たらない。忘年会という単語もない。
これは日本独自の古くからある習慣のようだ。
その年の憂さを晴らそうじゃないか。そしてまた来年がんばろうじゃ
ないか。そういう仕切りをするための機会として実に優れたものだと
思う。そういう気持ちの切り替えをきちんとして前に進もうとする。
年齢も上下関係も一度「忘れて」、一年の憂さを「忘れて」、仲間と
しての結束を今一度確認する。そう考えるとこの忘年会、という会の
ネーミングの絶妙さも感じてしまう。忘れることはとても大切だ。
ささいな気持ちのいらだちや、トラブルや、ついてしまった嘘や、
とりかえせない失敗や、終わった恋や、その他いろんなものを私たちは、
忘れることができる。忘れるから前に進める。そう、これは私たちの
先輩たちが編み出した前に進むために必要な儀式なのだ。忘れるって、
とても大切なこと。最近の忘年会は「忘れる」ことを忘れてしまってないだろうか。
忘年会はお祭りだ。
NO.86631
広告主 | ぐるなび |
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業種 | 家庭電器・AV機器・コンピュータ・OA機器・通信機器・ビジネス用品・電信電話サービス |
媒体 | 新聞 |
コピーライター | 高崎卓馬 |
掲載年度 | 2014年 |
掲載ページ | 247 |