リレーコラムについて

「別れ」は死んだ。

高橋祐司

「この時代に別れの歌をつくるのが難しい。
インターネットや携帯電話が無かった時代の
別れの歌が好きだ。」

 

僕の好きなバンドのボーカルはよく言う。

 

昔は、転校や引越しは、本当にお別れだった。
その後いつ会えるかわからなかった。

 

次会うときには、見た目も身長も、
話す話題も雰囲気も変わってるかもしれない。

 

そういう別れだったから、
当時のお別れの歌は、
よりグッときたのだろう。

 

僕も小学校一年で転校したことがあるが、
もともと仲良しだったタカハルくんとは、
そのまま結局会えてない。
(これ読んでないよね…?)

 

 

「ぜんぜん会ってないけど、
その人の最新状態をなんとなく知ってる。」

 

これはぼくらSNS世代には珍しくない。

 

もう何年も会ってなくても、
髪型変えたとか彼氏ができたとか、
結婚したとか転職したとか、
週末映画観てたとか一昨日近くにいたとか。
ぼんやりとお互いを見ている。知っている。

 

「別れ」が意味する人と人とのつながりは、
毎日のように変わってるのかもしれない。

 

 

それでもやっぱり、
死んでしまったら、
テキストでやりとりすることもできない。
楽しくやってるかどうかもわからない。

想像するしかない。願うしかない。

 

 

 

 

去年、会社の上司が急に亡くなった。

 

 

 

本当に急だったので、びっくりして、
打ち合わせの会話も耳に入らず、
本当に魂が抜けてしまった。

 

 

そのことをメールで知る二日前、
鎌倉駅の改札ですれ違ったばかりだった。

 

 

急いでる様子だったし、
少し遠かったので、声をかけなかった。

 

それが最後になってしまった。
そのとき声をかけなかったのをすごく後悔した。

 

 

100日後に死ぬワニくんがくれた100日間は、
なにげない毎日の、またとない尊さと、
突然の別れの身近さを教えてくれた。

 

ワニくんのことを好きになった人にとって、
あの期間は、ワニとあなたの100日間だったはずだ。

 

少しずつ、健康が当たり前じゃなくなってきた。
親も白髪まみれだし、体調を崩す知人もでてくる。

 

サウナに入りながら、よく、
「周りの人にはみんな健康でいてもらいたいよね。」
なんて話をしてしまうけど、

いつ自分もそうじゃなくなるかわからない。

 

突然の別れに対する準備は、
誰だっていつだってできてない。

 

けど自分の中に、上司からもらった言葉を、
いまもずっと大事に持っている。

 

一緒に仕事したことはなかったけど、
いつも気にかけてくれていて、
彼のお気に入りのお店で2人で飲んだ。

 

「僕どうしたらいいですかね?
なにを武器にしたらいいですか?」

 

その、いかにも青臭い、
そしてTHE上司と部下な質問に、

 

「んー、ゆーじはやっぱり、軽さじゃない?軽さ」
と答えてくれた。

「ほら、3月のライオンでさ、
後藤がスミスに言うやつ。
身軽さがウリなら、迷うなっていう、
名シーンあるじゃん」と。

 

帰って調べ直して、
「今日はありがとうございました。
ここですよね!」

「また行こうー。そうそうそこ」
とやりとりした。

正直、その日はしっくりこなかった。

 

そこから時間が経って、
そう思える場面がいくつかあって、
今はしっくりくるようになった。

 

しっくりきているし、
自分でその言葉を迎えに行くときもある。

 

去年、報告したい嬉しいことがあったとき、
もう連絡できないことが、
それかいつの間にか知ってて、
「やるじゃんゆーじ〜〜〜〜」って、
言ってくれそうな姿を想像して、
とても寂しくなる。

 

今思うと、
軽さがウリだったのは、
その上司も同じだった。

 

しばらくは会えないけど、
ずっと軽さをウリにして、
けれど身体を大切にして、
また会う日までに、
面白い話をストックしておきます。

 

 

志村けんさんの追悼番組で、高木ブーさんは、
「俺決めたの。
志村は死なないの。
ずっと生きてる。」
と言っていた。

 

別れの受け止め方にはいろいろあって、
そのどれもが正解だと思う。

 

 

この家から出にくい期間、
インスタやzoomではコミュニケーションとれる。
ある意味で「別れ」は死んでいる。

 

だけど全然人に会えなくて、
やっぱりどこかストレスになってる。

 

自分はつくづく、
人に会って話すのが好きなタイプなんだと、
改めて日々実感する。

 

落ち着いた際には、
フットワーク軽く、
いろんな人に会いに行きたいと思う。

 

かならず元気で、直接会いましょうね!

 

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