小学館
国民読書年
ぼくのおばあちゃん
150秒 女性
(作文を読むように):ぼくのおばあちゃん。
いびきの大きな
おばあちゃんだった。
夜中にぼくは、
何度もいびきで
起こされた。
でも、寝る前には、
本を読んでくれた。
人の悪口を言う
おばあちゃんだった。
でも、寝る前には、
本を読んでくれた。
母とよくケンカする
おばあちゃんだった。
きついことを言っては、
泣かせた。
でも、寝る前には、
本を読んでくれた。
すぐお金の話をする
おばあちゃんだった。
小遣いなど、めったに
くれなかった。
でも、寝る前には、
本を読んでくれた。
よく愚痴を言う
おばあちゃんだった。
あの戦争さえ
なかったら、と、
よく言ってた。
そして、寝る前には、
本を読んでくれた。
男まさりの
おばあちゃんだった。
結婚してすぐ
夫を亡くし、
女手ひとつで
父を育てた。
そして、ぼくが寝る前には、
本を読んでくれた。
毎晩毎晩、
必ず本を読んでくれた。
唯一の趣味だった
編み物の手を止めて、
読んでくれた。
おばあちゃんの
読んでくれる
物語の中には、
不器用でまじめな人と、
要領のいい
ずるい人が出てきた。
そして、
いつも最後には、
不器用な人が
幸せになった。
おばあちゃん:めでたし、めでたし
女性:今やっと、
わかる気がする。
おばあちゃんは、
ぼくに読んでくれながら、
自分自身に聞かせて
いたんだね。
ときには、
ストーリーを、
勝手にかえて。
NA:人が書いて、
人が読んで、
人が聞く。
今年は、国民読書年。
小学館です。
NO.33735
広告主 | 小学館 |
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受賞 | 一般部門賞 |
業種 | マスコミ・出版 |
媒体 | ラジオCM |
コピーライター | 道山智之 |
掲載年度 | 2011年 |
掲載ページ | 428 |