TCC会報出張所

こども広告教室2020@春日小学校

去る2020年12月9日(水)に練馬区立春日小学校で、5年生の2クラス51人を対象に「こども広告教室」を開催しました。こどもたちが取り組んだテーマは『「じぶん」にキャッチコピーをつけよう!』でした。

春日小学校では2回目となる「こども広告教室」。今回は、授業の3時限分をつかった①全体講義②ワークショップ③プレゼンテーションを通じて、一人ひとりが自分自身を現すキャッチコピーを制作し、発表しました。

 

キャッチコピーの役割を理解しよう。


西尾ヒロユキさんと坂本和加さんが講師を務め、実際の広告に使われているキャッチコピーなどを例にあげながら、コピーとはどういうものか、どうやって作るのかを、分かりやすく説明しました。

「広告のコピーとは、ポジティブな発信である」「商品のよいところ、自分のいいところを見つけて伝える」「普通に言ってもつまらないから、表現を工夫する」「想像力とは思いやりから生まれる」など、要点をわかりやすい言葉で伝えていました。

 

「自分」について考える。

次の時限では、班に分かれて、実際にコピーを制作するワークショップを行いました。
プロジェクトメンバー4名と、忙しい仕事の合間をぬって駆けつけてくれたサポーター5名が各班について、こどもたちの作業をサポートしました。

 

こどもたちには、事前に自分のいいところを考えるという宿題をやってもらっていました。
友だちにも自分のいいところを聞きながら、みんなに伝えたいことを決めて、一行の言葉にしていきます。書いたキャッチコピーをお互いに見せ合って、伝えたいことがしっかり伝わるかなども確認します。

 

   

キャッチコピーが決定したら、プレゼンテーションのために、画用紙に書き込みます。迷って悩んで決めた一行が、もっとも輝いて見えるように、書き方もそれぞれが工夫していました。

 

 

いよいよ、みんなの前で発表。


それぞれが考えた自分のキャッチコピーを、51名が一人ずつ、全員の前で発表しました。

どのキャッチコピーも個性的で魅力的。思わず、西尾さんが「みんな優秀!」と絶賛した出来映えでした。
「自分にキャッチコピーをつけるというのは、大人たちでも非常に難しい課題に取り組んで、1時間という短い間に全員が自分にキャッチコピーをつけられて、しかも名作ぞろい。素晴らしいです!」。

坂本さんも「レトリックを使ったキャッチコピーがあったり、言葉遊びの技術を自然に使っていて、みんなの言葉に対する意識の高さにも驚いたし、自分のことを突き詰めて考え、選んで、一行にして、みんなの意見を聞いて、大きな声で発表するという、すごいことをやり遂げた、そのことにちょっとびっくりしました」と話していました。

【こどもたちに感想を聞いてみました!】
・なかなか自分のいいところをみんなに言うことがなかったけど、もっと自分のいいところをみつけてみたくなりました。
・ふだんは、あまり短くまとめずにしゃべっていたので、短くすると分かりやすいので、いいなと思いました。
・言葉って楽しいなと思った。今日のような遊びかたができれば、(日本語に対する)意識が変わるのかなと思いました。

【プロジェクトメンバー&サポーターから】
・みんな短く、強く、彼/彼女らしいキャッチコピーになったなと思います。
・自分が書いたものを人に見せるというのはすごく恥ずかしいものですが、人に見せるものを書くと意識するだけで、書く言葉や選ぶ言葉、書き方が変わってくると思います。自分で自分のことを発見する、そのことに、少しでも役立てたならよかったなと思います。
・みんなが宿題でやってきた内容が、自分で考えた自分のいいところだけでなく、他の人から見た自分のいいところまでしっかりヒアリングして書いてきていたのが、いいなと思いました。キャッチコピーって、自分がいいと思っている部分と、他の人から見ていいと思われている部分の、間のところを上手くみつけてあげるという作業だと思います。キャッチコピーを書いているときも、何個か書いたものを他の人に見せて、どっちがいいと思う?と聞いたりして、客観的な視点=他の人から見てどう思われるかということを考えながら書けていたところがすごいと思いました。
・みんなが自分のいいところを考えるのは、大人でも難しいことなので、ちゃんと向き合う時間を持てたことは、それだけですごいことなので、みなさんに自信を持ってもらいたいと思います。自分のいいところをまとめて作った今日のコピーを、これからも大事に覚えていたら、思い出したときに、自分の勇気になったりするのではないかと思うので、忘れないでいてほしいと思います。
・一行の言葉にするために、みんなが真剣に悩んで、これじゃないんだよな、とか、もっとよくしたいなと、一生懸命考えているところを見て、すごいな、私ももうちょっと頑張ろうかなと思いました。ポスターにする作業でも、最後までどうしたらもっと面白くなるかなと工夫してくれたところもすごくよかったと思いました。
・自分のカッコイイいいところを、カッコよく言っているコピーとか、大きな夢を語っているコピーとか、とってもよかったなと思ったし、逆に自分のちょっと情けないところとか、ぜんぜんカッコつけずにみんなを笑わせるとか、そういう気持ちのこもったコピーもたくさんあって、カッコイイだけじゃなくて、ちょっとカッコわるいところも、こんな風にみんなの魅力になるんだなということを気付かせてもらいました。ありがとうございました。

「キャッチコピーを持っている小学5年生というのは、そんなにいないと思うので、今日、考えたキャッチコピーを大切にしっかりと持ち続けて、学校生活を楽しんでもらえたらなと思います」と最後に西尾さん。

また、春日小学校の先生は「今日、自分のことを考えるのに、迷ったり、悩んだりしたと思いますが、その分、言葉についてすごく深く考えたと思います。自分の中から沸いてでてきた言葉ですから、そのキャッチコピーは誰が何と言っても、大事にしてほしいなと思いました。これからいろいろな場面でたくさん言葉を使っていくと思います。そのときに、この体験を絶対に活かせると思います。宝になりましたね。これから、今日のことを活用して、さらに言葉と親しんでもらいたいなと思います」と、こどもたちに話していました。

こどもたちが真剣に取り組み、大人の予想を上回る成果を発表して見せてくれた「こども広告教室」。ぜひ、みなさんもサポーターとして、感動の瞬間に立ち会ってみてはいかがでしょうか。