私の好きな言葉です。
「和而不同」という言葉が好きだ。
もともとは『論語』の中に出てくる言葉で、
「和して同ぜず(わしてどうぜず)」と読む。
「わじふどう」と読むこともある。
意味を調べると、
・誰とでも「協調」するが、道理にはずれたことには「同調」しない。
・和やかな人間関係を心掛けるが、無責任に賛成することはない。
・互いの個性を認めつつ、主体性をもった人付き合いをするべきだ。
というようなことらしい。
中学校の教室に校訓として掲げられていた
その言葉の意味を知ったとき
当時13歳の岩田少年の心は弾んだ。
「みんなと群れるのってダサいよな」
「でも誰とも友達になれないのも寂しいよな」
という思春期の繊細な心を
ちょうどよく肯定してくれたからだ。
温和でありながら、パンク。
クセが強そうに見えて、ポップ。
そんな捉えどころのない人間になりたい、
と今でも思っている。
人付き合いだけではなく、
本や映画や音楽も、
「和而不同」のバランスが
絶妙なものが好きだ。
完全にアートで孤高なものは好まない。
逆に、わかりやすぎるものも好まない。
その境界でゆらぐ、
突き抜けきれない人間らしさがツボだ。
大学では、シュールレアリスム文学について
勉強していた。
極端な合理主義が進んでいるはずのヨーロッパで、
無意識の世界、夢の世界を描いていたところにグッとくる。
中途半端だね、と言われればその通りで、
結局サブカルだよね、という指摘も受け止めよう。
だが、その曖昧な嗜好性のおかげで、
アートでもない、ロジックだけでもない、
広告という仕事を楽しくやれている。
広告の仕事は、
世の中に理解されたいと願いながら、
個人的な狂気や、前例のない異常性を
投げ込んでいくことのような気がする。
この曖昧さがなくなったら、
色気もフェロモンもなくなってしまうだろう。
早いもので、広告業界に入って9年目になる。
そんな僕は、生活のスタイルも「和而不同」。
例えば・・・
●仕事
・オリエンは聞くが、言いなりにはならない。
・構造はわかりやすく、表現はクセをつける。
・タレントがメジャーなら、音楽はマイナー(逆も然り)。
●私生活
・飲み会には行くが、説教は聞かない。
・フットサルはやるが、ゴルフはやらない。
・どう見ても文化系なのに、行動は体育会系。
こうして見ると、ただひねくれてる人ですね。
自分の中では、自分がしっくりくる
ここちよいバランスで過ごすために、
協調と同調の間を生きているだけなのだが・・・
坊主にしたりピアスあけたりして
見た目の方向性が定まらないのも、
新人賞に5本応募したら、
「作風がバラバラだけどどれが君の本質なの?」
と受賞後に聞かれてしまうのも、
すべては「和而不同」のせいなのです。
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