麦畑を渡ってきた風の話では、今年も豊かに育っているそうです。はつらつと育っているそうです。育ての親で...

麦畑を渡ってきた風の
話では、今年も豊か
に育っているそうです。はつらつ
と育っているそうです。育ての親
である大地も太陽も、それは
もう手ばなし。目を細めて喜ん
でいるそうです。でも、ただひと
つ気がかりが…。それは、前途に
待ち受けている、厳しく長い旅。
ひと粒の麦から、ひと滴の液体
への変身の旅。この試練の旅へ
の不安です。だけど、その心配
は喜びでもあるのです。選ばれ
た誇りがある。みごとに耐え抜
き、まろやかに円熟して、グラス
に輝く栄光がある。そして、なに
よりの幸せ―この長い旅の
終着駅―あなたの掌で豊饒に
香り立つ日が
待っている。 日本の風土と、日本人の手が育てた
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