好きな理由:おもしろいから
いま思えば、
あの日、自分の生き方やアイデンティティが
決定づけられたのかもしれない。
もし僕がワンピースの主要キャラなら、
過去編として描かれるのはこの日になるだろう
とさえ思えるような出来事が、
小学校1年生のときにありました。
とある日の休み時間、
当時ちょっと気になっていた同じクラスの
内田えりかちゃんの席の前に人だかりができていました。
そして、机の上には自由帳が開かれていて、
えりかちゃんが腕組みをしている。
ページを覗いてみると、
左上には大きく「すきな人」という
タイトルが書かれていました。
どういういきさつかはわかりませんが、
そこで開かれていたのは、
えりかちゃんの好きな人発表会。
そして「すきな人」の文字の下には、
山本ひろきくん
と、
同じクラスの男の子の名前が
デカデカと書かれていました。
さらにその下には、
足がはやいから
と選定の理由まで丁寧に記されています。
「足がはやいから」か・・・。
小1の僕らにとってあまりにも
真っ当で強大すぎる理由を前に、
やるせなさを感じながら
自由帳をぼんやり眺めていると、
その右のページにまだ続きがありました。
そしてそこに書かれていたのは、
まつおのぼるくん
の名前でした。
「山本ひろきくん」とほぼ級数も同じです。
さらにその下には、
おもしろいから
という理由が書かれていました。
たしかに小1の頃の僕は、
授業中や休み時間にみんなを笑わせるのが好きで
クラスの「おもしろいやつ」ポジションを
獲得できていました。
※その証拠に、授業参観で披露したクラスの劇
「一休さん」の主役も務めています。
でも、その「おもしろい」に、
こんなにも価値があるなんて全く知らなかった!
女子にモテる、
それも「足がはやい」に匹敵するくらいモテるという
これ以上ない成功体験によって、
「おもしろい」の価値が僕の頭に深く刻まれた瞬間でした。
そこから僕は「おもしろい」に
こだわって生きるようになった気がします。
高校生まではずっと、
クラスで一番おもしろいやつになることが
僕の生きがいでした。
大学に入れば、漫才トリオを結成してM-1にも出ました。
幸いそれほど才能はなかったので、
芸人になろうなんてことは1ミリも思えませんでしたが、
社会人になってからもR-1に出たり
(2回戦までいきました)、
今回、なかやまきんに君のCMで
TCC新人賞までいただけました。
もしあの日、自由帳に
「あたまがいいから」と書かれていたら、
「オシャレだから」と書かれていたら、
「ボディコピーがうまいから」と書かれていたら、
別の人生もあったのかもしれないなと
思わなくもないですが、
これからも、
せっかくなんで「おもしろい」にこだわって
(才能はないなりに、ですが)
頑張っていけたらなと思います。
前回のコラムで、
同世代のスター花田さんからいただいた
バトンなんでできるだけ頑張ってみます!
と書いていましたが、
全2本で早々に力尽きてしまい、
次の方にバトンを渡そうと思います。
来週からは博報堂の髙木浩平さんに
お願いしています!
TCC新人賞をとられていた日本弁護士連合会の
WEB動画が何回も繰り返し見てしまうくらい
すごく好きで(全5話もあってうれしいです)、
髙木さんのコラムも楽しみです。
髙木さん、よろしくお願いします!
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