地球人が、火星人になる日。 「火星に、大きな街をつくりたいです」
トレンチコートの男は、目を輝かせながら語った。
「火星になんて住めないですよね」とぼくが言えば、
「火星は実は、地球の次に住みやすい星なんです」
と彼は言う。
火星には四季があり、一日も24時間。
太陽光や風力エネルギーを利用すれば食料生産も可能で、
火星の土でレンガだって自給できる、らしい。
しかも、重力が地球の約3分の1だから、
そこそこの強度で十分建物が建てられる、とのこと。
そうなのか、知らなかった。
気づけば、彼の話に聞き入っている自分がいた。
いつか住みたい場所に、パリでもニューヨークでもなく、
火星がランクインする日。
そんな未来も、遠くはないかもしれない。
「大きな夢ですね」と言ったら、
「夢じゃないですよ」と彼。
「おおばや氏」と名乗るその男の瞳の奥に、
火星の赤い景色が見えた、気がした。

MAKE BEYOND つくるを拓く
大林組

NO.2022408

広告主 大林組
受賞
業種 精密機器・産業資材・住宅・不動産
媒体 雑誌
コピーライター 小川祐人 仲澤南
掲載年度 2022年
掲載ページ 394