リレーコラムについて

枕草子はコピーのお手本

一倉宏

アンケート形式にしてみます。

あなたのキャラクターは、つぎのどのタイプでしょうか。
おおまかなイメージ、直感で、答えてください。

A   紫式部   B   清少納言   C   小野小町

C は、ほぼ冗談として。まず、いないでしょ。

いまの大河ドラマ、まひろ、吉高式部の人気を考えれば・・・
A と答える人、答えたい人、多いかな。

でも、ですね。私が思うには・・・

あなたは、清少納言に似ている。

・・・はずなんです。たぶん。

紫式部は、いうまでもなく、小説を書く作家型。
源氏五十四帖を書き上げた、長編ストーリーテラーです。

対して、清少納言は、短距離勝負のエッセイスト型。
もしくは詩人型。あるいはコピーライター型といっていいかも。

このコラムをお読みのあなたは、TCCの会員、あるいは
コピーに興味をお持ちの、同好のメンバーでしょう。

だとすれば・・・という、私の経験に基づく推理です。

そもそも、源氏物語は・・・(現代語訳でも)
きっと途中で挫折したタイプでしょ。

私も同じです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

訳詞した 組曲「枕草子」のアルバムをリリースして
記念のコンサートを開催してから、もう10年になります。

詩人のアーサー・ビナードさんとのトークコーナーでは
「清少納言はコピーライター?」説を語りあいました。

「(彼女には)短くて、的確で、ドキッとすることをいう
そんな、コピーライターとしてもすごい才能がありますね」
と、私が水を向けると、アーサーさんは「そうですね、
ひょっとしたら一倉さんよりもうまいかもしれないね」。
ここで(会場・爆笑)となりました。

「当時、社会は広告代理店のない、とってもいい社会だった
んだけど」とアーサーさん。(笑)  「でも、スポンサーはない
わけじゃない。書くためにはスポンサーがつかないと書けないし
発表することもできない。ただ、清少納言にはこれをPRして
とか、コピーを書いてというのはない。それは一倉さんとは違う」

確かに違います。「それは、花であったり、風であったり、
雨であったり、そういう自然そのものとか・・・」と、私。

「そう。森羅万象をプロモーションするという、すごく自由な
仕事をしたコピーライターだったんですね。たとえばこんなに
うまく春をプロモーションした人はいません。春はあけぼの。
これはもう永遠のコピーです」。詩人はそう証言しています。

「清少納言って、どんな女性だったと思います?」と向けると
「僕は・・・ 2回目に読んだときに、うちの妻にそっくりだ
と思った」とアーサーさん。奥様は、詩人の木坂涼さんです。
木坂さんはもと広告代理店・・・博報堂勤務だったらしい。

 

きのう、私は書きました。
コピーライターの三井明子さんは、清少納言のイメージだと。

三井さん、ごめんなさい。
あらためて、思い直しました。コピーライターの女性たちは
みなさん、やっぱり、清少納言タイプじゃないのかな。
どちらかといえば。と注釈すれば、ほぼ間違いなく。

坂本も。大友も。国井さんも。尾形さんも。岩崎亜矢も。
児島令子も。太田恵美さんだって、きっと。
( 一部敬称略 乞御免 )

 

源氏物語は、誰にも書けない。

でも、枕草子の一節なら、書けそうな気がする。

コピーも、たぶん、それに似ている。

(だから、某養成講座は、いまも繁盛している)

枕草子は、コピーに似ている。

身近にあるもの、日常への、愛しい眼差し。

そういうわけで。

枕草子は、コピーのお手本なんだ。

 

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