境界線(イスラエルとパレスチナ)
この1年、イスラエルとパレスチナをめぐる、目を覆いたくなるようなニュースがずっと流れています。
でも「なぜ揉めているのか?今ひとつよく分からない」という人が多いのではないでしょうか?
3つの文章を読んでいただけますか?
1 イスラエルとパレスチナの国境に、分離壁がある。
2 イスラエルとパレスチナは、戦争をしている。
3 イスラエルとパレスチナは、宗教問題で揉めている。
すべて「正解」に見えると思います。
実は、10年前からコロナ禍で渡航できなくなるまで、僕は毎年、イスラエルとパレスチナを訪れていました。境界線を行ったり来たり。
自分の目で見て、自分の足で歩き、イスラエルの人の話も、パレスチナの人の話も、自分の耳で聞きました。カメラを抱えて動画を撮りまくりました。(政治的な思想はありません。ひとりの人間として知りたかったんです)
結果、上の3つの文章は、実態に則していない「ほぼ間違い」だと知りました。
おどろいちゃいました。
世界を見る目がひっくり返りました。
全世界の高校生が、イスラエルとパレスチナ、そして聖地エルサレムを、修学旅行で訪れると良いと思います。
世界の嘘が分かるようになります。世界の仕組みも。
正しくは、
1 イスラエルとパレスチナの国境に、分離壁がある。
1 分離壁は、国境よりパレスチナの内側にある。しかもパレスチナの領土の中を縦横無尽に分離壁が張り巡らされていて、パレスチナの村と村が分離されている。
2 イスラエルとパレスチナは、戦争をしている。
2 イスラエルがパレスチナを、虐殺・民族浄化していると言った方が実態に即している。
3 イスラエルとパレスチナは、宗教問題で揉めている。
3 イスラエルとパレスチナは、土地略奪で揉めている。
です。大きく言うと。
言葉のトリックで、巧妙に隠されていますが、
一言で言えば、アメリカがネイティブを虐殺して土地を奪ったような前時代的なことと同じことが、いまなお進行形で行われているんです。
一目でわかる地図がありますので、掲出します。
右から2つ目。1949ー1967年が、ニュースでよく出てくる地図です。
白い部分がイスラエル、緑色の部分がパレスチナ。離れていますが、ガザ地区とヨルダン川西岸地区です。
でも、実際は違うんです。
一番右の2000年の地図を見てください。
ヨルダン川西岸地区の緑色の領土がバラバラになって小さくなっているのが分かりますか?縦横無尽に張り巡らされた分離壁とイスラエル人専用道路とイスラエル入植地によって、パレスチナの村と村が分断され、次々に土地を奪われ、狭い狭いバラバラな地域に押し込められているんです。
で、ガザ地区は、周りがすべて壁とフェンスで囲まれています。海から逃げることもできません。世界最大の牢獄と言われています。そこをイスラエルは最新鋭兵器で爆撃するんです。パレスチナ人はどこへ逃げることもできません。エジプトからトンネルを掘って武器を仕入れているなんて言いますが、イスラエルの兵器に比べたら線香花火みたいなものです。
これの一体どこが戦争なのでしょうか?
実は、これは結構世界中で知られていることです。各国で100万人規模のデモが行われたりしています。でもなぜか日本ではほとんど知られていません。
パレスチナは、かつてユダヤ人が壁の中に押し込められ虐殺されたゲットーと同じだと思います。壁で囲って、虐殺して、追い出して。
どう土地や水源を奪うのか、ちょっとだけ書きます。
・土地の奪い方の一例
「72時間家を留守にしたら、土地と家を没収する」という法律をイスラエルがつくりました。
「軍事訓練をするから、1週間家を空けろ」とイスラエル軍がパレスチナ人に命令します。
パレスチナ人が泣く泣く家を出て、帰ってくると、家が破壊され土地が奪われています。
・水源の奪い方の一例
パレスチナ人の所有している井戸に石を入れて使えなくします。パレスチナの地下水源から8割以上を奪います。
パレスチナ人は生きていく最低限の水しかありませんが、イスラエルの入植地の家にはプールまであります。
さて、僕がパレスチナで見たこと、一体何から書けばいいのか、書くことがありすぎて、迷ってます。
うまくまとまりそうもありません。
自分たちが飲む水ほとんど無いのに、砂漠の村を訪ねると、おばちゃんがペットボトルの水をくれようとするんですよ。
みんなで砂利を人力で撒いて道路をつくってあげた村があったんだけど、その道路イスラエル軍に壊されちゃたんですよ。その村長さんもイスラエル軍のブルドーザーに轢き殺されちゃったんですよ。
イスラエル兵の気まぐれで足を撃たれて歩けなくなった別の村長さん、このあいだ志半ばで死んじゃったんですよ。
18歳のパレスチナの女の子、イスラエル兵をビンタしただけで、テロリスト認定されて、半年も刑務所に入れられちゃったんですよ。
パレスチナのお母さんたちが泣いてるんですよ。子どもを刑務所に入れられて。小学生や中学生のこどもをですよ。刑務所を出て来たら、子どもの精神狂ってるんですよ。
ガザ爆撃前、毎週金曜日、パレスチナ人が何人も国境のフェンスに向かって歩いていくんですよ。なんのためか知ってます?イスラエル兵に撃たれて殺されるためです。そうしたらガザの惨状が世界のニュースになると思って。
ガザは、空爆なんてしなくても、塩水しか飲めなくて、パレスチナ人は遅かれ早かれ腎臓病で死に絶えるところだったんですよ。
みんなのカンパでガザに送った浄水器、毎日1000人の命を救ってたんですが、空爆で破壊されちゃったんですよ。
絶望するしかないですよ。
でも、絶望するわけにはいけないんですよね。
だって、イスラエル人の中からも、いくらなんでもおかしいと、行動をはじめる勇気ある人々も生まれてるんです。
イスラエル人の18歳の少女シャハールは、パレスチナ迫害の酷さに兵役拒否をしました。兵役拒否によって刑務所に入れられることを厭いませんでした。
イスラエル人のガイは、銃を撃つイスラエル人入植者からパレスチナ人を守る活動をしています。
イスラエル人のマガリは、家族をアウシュビッツで失いましたが、同じことをしてはいけないと、パレスチナ人を救う活動をしています。
この人たちは、未来の歴史書に、パレスチナのシンドラーや杉原千畝として扱われるはずです。
いつもパレスチナの人に、「何かできることある?必要なものはある?」って聞くんです。
「お金」とか「水」とか「学校」とか答えそうじゃないですか?
でも、そういうふうに答える人は、いません。
「あなたが見たことを、周りの人に知らせてもらえませんか。それで十分です」って、答えます。みんなが、みんな。
TCCのx、1万6000人というフォロワー数を見て、希望が湧いています。
少しでも多くの人に、パレスチナ人の声が届きますように。
ベルリンの壁、は崩れました。
世界の人が声をあげれば、パレスチナの分離壁も、いつかは崩れ去るでしょう。
それは、イスラエルの人々のためでもあります。
パレスチナは、イスラエルによって分離壁で囲まれていますが、逆に言えば、壁の内側はイスラエルでもあるんです。
いま、イスラエルは中東全部を敵に回そうとしています。イスラエル人だって大勢亡くなる可能性があるんです。
壁が世界に現れたら、それは崩されるために存在しているのだ
と、僕は思いたい。
P.S.
僕が撮り溜めた動画と、パレスチナ人からもらった貴重な動画で構成した、パレスチナ関連の一番短いドキュメンタリーです。12分だけお付き合いいただけませんか?
シリーズ希望の戦士「刑務所に入った天使たち」
https://youtu.be/wl1GsI4MkWc?si=Ayvj38Xd9exZjbAO
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NPO法人アースキャラバン(ここで活動しています。ご興味ある方は覗いてみてください)
希望の火プロジェクト(世界規模のプロジェクトをはじめてます。こちらもぜひ)
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