なおたろう
はじめまして、電通九州の山田大輝と申します。
和久田キラーです。
授賞式を来週に控えているという理由で
小山田さんがバトンを繋いでくれました。
とても意地悪です。
もうパワハラです。
「結構目立つね」という一文からも意地の悪さが伺えます。
というのも、私は目立ちたくない性分なのです。
たいした語彙力もなく、コピーライター養成講座にも通っていないし、
毎日ショート動画で2時間くらい無駄な時間を費やしている。
この知識だったら誰にも負けないみたいな突出したものもない。
そんな、なんの変哲もない人間。
その証拠に、燻んだグレーともベージュとも言えない色の名刺には
「コピーライター」の肩書きすら入っていない。
ルール上は入れても問題ないのですが、
その7文字を入れる勇気がまだないのです。
*
その引っ込み思案は、ちゃんと息子にも遺伝している。
大勢の人を前にすると、言葉を発せなくなる息子は
お誕生日会で自己紹介を求められても無言のまま。
名前さえも言えない。
唯一、口にしたのは「たん」という2文字だった。
はじめ、保護者たちは困惑していたのを覚えている。
私も意味が分からなかった。
「いちご」「ケーキ」「アイス」と可愛らしい言葉が並ぶ中、
「たん」が何かを理解できなかったのだ。
「好きな食べ物は?」という先生の質問に、
焼肉の部位を回答していると気付いた保護者たちがクスクス笑っており、
息子は逆に目立ってしまっていた。
かわいそうなやつめ。
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昨日。そんな息子が、生活発表会(お遊戯会)の舞台に立っていた。
正確にいうと、ほとんど立ってはいなかった。
年長さんの出し物は「劇」だ。非常に相性が悪い。
しかし、心なしかいつもより嫌がっていない。
このご時世、木の役で突っ立ってるだけなんて配役はない。
台詞は平等に全員に与えられている。
もう年長だ。
少しは息子も成長したのだろう。
もしかしたら主役に抜擢されて人が変わったのかもしれない。
「なんの役をするの?」と期待に胸を膨らませて聞くと、
彼は嬉しそうに「なんの役だと思う?」とクイズを出してきた。
かわいいやつめ。
演目は『金のがちょう』だ。
前述した通り、知識のない私はググりながら回答者になる。
「ハンス」「ぶぶー」
「王様」「ぶぶー」
まあこのへんは仕方ない。予想の範囲内だ。
「兵士」「ぶぶー」
「姫」「ぶぶー」
「牧師」「ぶぶー」
サブキャストも違う。
「ねこ」「ぶぶー」
「木」「ぶぶー」
お手上げだ。
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正解はナレーターだった。
重要な役ではあるが、確かに出番は少ない。
息子なりに、自分の道を探していることに安心感すらあった。
本番当日、手をグーにしてプルプル振るわせながらもちゃんと言葉を発していた。
声はしっかり届いていた。
目立ちたくはないけれど、息子のように頑張ろうと想い、
もともと前向きではなかったリレーコラムを引き受けた次第だ。
小山田さん、ありがとうございます。
バトン、ちゃんと受け取ります。
1週間、よろしくお願いいたします。
最後は息子が唯一ソロでもらった台詞で締めたいと思います。
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「どんな物語がはじまるのでしょうか(棒)」
5811 | 2024.12.02 | なおたろう |