リレーコラムについて

無名コピーライターの日常生活

安田有美香

こんばんは。

とつぜんですが、いちフリーフリーコピーライターがどんな生活をしているか・・・ということを今日は書こうと思います。

午前11時、窓を明けると海が見える。昨日の台風の影響か、少し波が高い。昨日は、打合せが夜中の3時まで長引いたので、まだアタマがはっきりしない。眠気ざましに、エスプレッソを一杯のみ、愛犬(ミニチュアダックス)の散歩に出かける。午後からは、最近購入したimacをたちあげ、キャッチフレーズを考える。と、突然、「神」が降りてきて、ペンを持った左腕が勝手に動き出す。そこには、最高のキャッチフレーズが書かれている。そう、これだ。わたしって天才・・・あ、もう打ち合わせの時間だ。仕事用のスーツに着替える。今日はCM撮影の立ち会いがあるのだ。タレントは、織田裕二・・・

「フリーのコピーライター」ってなんとなく、こーいうことを想像してたのにな。現実はぜんぜん違う。
合ってるのは、犬と左利きだけ。

だいたい、わたしは名古屋に住んでいるので、家から海などまったく見えません。でも、有名なコピーライターの先輩がたは、海の見える家に住んでいたりします。素敵です。(東京でいうと、神奈川の方なんでしょうか?)
8年勤めたリクルートは退職しましたが、今も9割がリクルートの求人広告の仕事をしているので、まいにち、地下鉄で会社に出勤しています。
遅くても9時には起きています。エスプレッソではなく、100円コーヒーです。
朝からフル回転で仕事をしています。ただし、昼間の仕事は、「作業」。
モノクロ広告なら、コピーもデザインも写真のスキャニングもします。
なんでも屋です。平均、7時半ぐらいには退社するでしょうか。
その後、夜の仕事が始まります。
別に、風俗でバイトしているわけでなく、「考える仕事」が、夜の部なのです。
コピーライターの中にもいろんなタイプがいると思います。
昼間、机の上でひたすら考えて、会社の外に出たら、仕事のことを忘れられる人。
一人じゃダメ。みんなでワイワイしゃべりながら、アイデアを練っていく人。
わたしなんかは、会社を出てから・・・電車の中、ごはんを食べながら、テレビを見てても、お風呂に入りながら、はたまた夢の中でも・・・ずっと考えるタイプ。
これが、コピーライターという仕事の便利なところでもあり、つらいところでもあります。ほんとつらい。大きな仕事が入っている時などは、毎日が上の空状態。
家の中も散らかり放題で、空気もどよ〜んとなり、ダンナにイヤな顔をされます。
(あ、わたし主婦です)
徹夜はしません。仕事で終電になったことも、一生に2回ぐらいだな。
サラリーマンのころ、「徹夜をしないわたしって、やはりクリエイターとしてなにかが欠けているのかしら・・・」と、けっこうマジで悩んだこともありました。
でも、某大阪電通の、某有名クリエイターの人にお会いしたときに、
「徹夜とかって、やっぱりしますよね?」って聞いたら、
「せーへん、せーへん。そういうの、嫌いやから」っておっしゃってた。
あ、なーんだ。人それぞれ、いろんなスタイルがあっていいんだ。って安心したものです。だから、毎日、1時ぐらいには寝てます。
だって、寝ないと次の日、仕事できないんだもん。

というわけで、別に「フリーのコピーライター」だからって、特別な生活をしているわけではありません。それどころか、規則正しくふつうの生活を、いかに保っていくか。誰も苦言をいってくれない「フリー」という世界で、いかに自分のレベルやモチベーションを維持していけるか。そういうことが、すごく難しい。
でも、個人的には、コピーライターって、「ふつうの人のふつうの視線を持っている」ことが、すごく大事じゃないかと思うので、いまの生活は理想的。
むか〜し、仲畑さんが、
「コピーの勉強なんて、ムダだからするな。それよりも、自分の好きなことを、好きにやった方がよっぽど勉強になる。映画が好きなやつは、何百本も見まくれ。エッチが好きなやつは、やりまくれ」
みたいなことをどこかでおっしゃっていて、それがすごく心に残っているのです。

ほかのみんなは、どういう毎日を送ってるんだろう?

それでは、明日は、「たくましくなった想像力」をテーマに。

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