コピーライターの才能
安田有美香
「ヤスダさんは、才能があってすごいですね。わたしなんか、だいいち、文章力がないから、コピーライターなんて、とてもとても・・・」なんてことを、よく知人から言われたりする。
そんなとき、はたと「コピーライターの才能」てなんだろ?って思うのである。
ワタシに言わせれば、文章力なんていうものは、コピーライティングに必要なことの5%ぐらいしか占めないんじゃないかと思う。
第一、文章力ってなんだろ?「てにをは」?
そうなると、文章力さえも必要ない気がしてくる。
よく聞くことだけれど、「コピーは文章をかくのではなく、コトバを採集してくること」なんて言われているもんなぁ。
っていうことは、コトバへの感度がいちばんだいじなんだろーか。
でも、コトバをやたら並べても、そこからいいものを「選ぶ能力」つうのが必要になるしなぁ。
児島令子さんも、そんなようなことをおっしゃってた。
とかなんとかぐるぐると考えていくわけです。
でも、わたしが、いちばん「マネできないなぁ」と思うのは、
「こんなコピー(アイデア)、周りにどうやって通したんだろ?」って感じるときです。
たとえば、岡さんがつくっていた長瀬くんと中国人かなんかのオンナの人が出てた「J−PHONE」のCM。
(ちょっと古いけど)
あれって、個人的には「大好き」とか思わなかったけど、
「マネできないなぁ」って思った。
映画みたいでかっこいいけど、別にあーする必然性がないじゃないですか。
っていうか、「これってCMとして、役目を果たすの?」って疑問さえ感じた。
あーいうのって、少なくともわたしには浮かばないし、
だれかがアイデアを出しても「それって、CMなのかなぁ?」って言っちゃう。
でも、そのコピーライターには、最初からそれがイケるってわかっていて、
なおかつ、まずは周りのスタッフを言いくるめ(コトバは悪いけど)、
その後、クライアントまでその気にさせてしまう
そして大衆をも惹きつけるプレゼンテーション能力。
わたしもたまにプレゼンをするわけですが(といっても大きなものではないけれど)自分でも「なにワケのわからんこといってるんだろ?」って思いながら、
あたふたとしゃべりまくってるわけです。
そう、わたしに欠けていると痛感させ、
有能なコピーライター必ず備えている力は、
「人をその気にさせる力」だと思うのです。
うーん、口がウマいだけではダメだし。
調子がイイのともまた違うし。
彼または彼女には、見えているんでしょうね。きっと。
「なんで、こーしないの?」と疑問すら感じているかもしれない。
それこそが、きっと凡人にマネできない「才能」だと思う。
いままで、いろんな有名コピーライターに会ってきたけれど。
うるさいほどよくしゃべる人から、声も小さくて寡黙な人と、いろいろいたけれど、
きっとみんな、そういう「コピーライターの才能」を持ち合わせている人だったんだなぁ。
こればっかりは、一緒に仕事してみないとわからないですね。
もう10月。今日は今シーズン初の「一人鍋」をやりました。
それでは、おやすみなさい。
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