音の違い
昨日はボランティアで札幌のテレビ局のMAをやった。
私はラジオCMが本業だがたまにテレビの音の仕事が来る。
昨日のはミュージシャンの友人が引き受けた仕事で
そもそも音楽だけを引き受けたつもりが仕上げまでやることに
なってしまって私に助けを求めてきたのだ。
よし、ここでひとつ貸しておくから私の仕事でお金がないときに
音楽を作ってね...ということで話は成立した。
仕事の物々交換である。
しかし考えてみればこれでトクをするのは
金はないが音楽を作りたいと言ってくる我がままな奴で
私はまったくトクするわけではない。ダブルボランティアだ。
これでトクした気分になっていた私は愚か者だ。
まあそんなことはともかくとして、ひとつ面白いことがあった。
札幌のテレビ局で録音した局アナの声と昨日東京のスタジオで
録音したナレーターの声を較べると明らかに存在感が違う。
札幌で録音した子供の声と
東京で録音した子供の声を較べても明らかに違う。
録音そのものが違うのだ。マイクが違う。
録音技師のポリシーと技術が違う。
スタジオのクオリティが違う。
さらに面白かったのは札幌から立ち会いに来たテレビ局の人も
その違いをハッキリ認識したことだ。
テレビ局の人は技術畑の人ではない。音は素人だが、
それでもわかるのだ。
今年のTCCの審査のとき、あるコピーライターが応募した
ラジオのシリーズを聞いて愕然としたことがある。
3本シリーズだったのだが1本だけ音が違う。
いい悪いではない、ただ音が違うというだけだ。
言うならば録音技師の音の作りかたの違いだ。
それは私が演出したものだったので、やがて理由がわかった。
スタジオが違うのだ。その1本とあとの2本は
作ったスタジオが違うのだ。
カセットというのはかなり音質が落ちるものだが
それでも音の違いがあらわれていた。
京都のおばあちゃんから聞いた話がある。
玄関の格子戸が、お天気のいい日はカラカラといい音をたて
雨の日はゴトッと鳴るという。
なあんだ、みんな耳がいいんじゃないの。
ちゃんと聞こえているんじゃないの。
自分は音に関しては素人だと主張するみなさん、
あなたの耳に聞こえているものを、ちゃんと認識さえすれば
音の世界はもっともっと面白くなりますよ。
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