夢の仕事1
こんにちわ。
可愛い部下のお願いと、酒とゴルフのお誘いが断れない柴田です。
このコラムは、広告やコピーラーターに関心のある人、あるいは、
業界関係者が開くページでしょう。まあ、関係者はさておいて、
これからコピーライターをめざす若い人(そう、今このページを開いているあなた!)に向けて、私は書こうと思う。
コピーライターの仕事は、素晴らしい!楽しいよ!面白いぞオ!
と、訴えたい。 題して「夢の仕事」その1です。
「おはよう!」と、カン高い声を張りあげながら、そのお方は、
朝7時きっかりに、やって来ました。
帽子をとって、深々と丁寧なご挨拶を、先にされてしまう。
あった瞬間、「太陽」というキャッチフレーズが、浮かんだ。
我が少年時代からの憧れ、いや、神様と言っても過言ではない。
胸がドキドキする。こんなトキメキは、オンナともなかったぞ?
私は、仕事を忘れて、すっかりアガってしまっている。
「ねえ、シバッチャン!長嶋、撮影しない?」と、
出版社の某学館から電話が入ったのは、かれこれ数年前。
「某年サンデー」というコミック誌の創刊号を飾ったのは、
かの長嶋茂雄、ミスタージャイアンツ、であった。
その創刊号を持ってもらって、新聞、ポスターを創ろうという企画。
もちろん断るわけがない。他の仕事を放り出して、オープン戦の
宿泊先であった大阪のホテルへ飛んで出かけた。
もらった時間は、わずか、30分!
長嶋さんは、人の話に耳を傾けるような人ではない。
神は、世事にはトンと関心がないのである。
「今日は何?」とお尋ねなさるので、「実は・・」と事情を申し上げると
創刊号を手にとりながら「ほほう。そーーでしたねえ。そーーでした」
と、思い出したかのように、あのスマイルでおっしゃる。
「覚えていますか!」と、感激して畳みかけると、
「いやあ、覚えていませんねえ」と、平然とおっしゃる。
アララ・・ガクリ。
私は、仕事をしたタレントさんや、著名人とは記念撮影など
基本的にはしない人だが、この時ばかりは、お願いしてしまった。
ミスターは、快くOKして、何枚も撮らせて頂いた。
「いやあ、ベリーですねえ、ほほう、
いわゆるひとつの、グッドですねえ」と、カメラ機材までお誉め頂き、
終始ゴキゲンであらせられた。
最後にお礼を申し上げると、さらに大きなスマイルで、
「いえいえ、どーも、どーーーも。で、
これ、なんの撮影?」と言い残して、足早に去っていかれたので
ありました。アララ一同・・ガクリ。
その時書いたキャッチは、長嶋茂雄ではなく、
「長嶋、英雄。」というものであった。
名前に、点、丸を入れて、チョイと変えるような大胆なことも、
「ホホウ、英雄ですか・・・ハハハ」と、
大らかに認めて頂いたのでありました。 つづく。