思い出のピンナップ・ガール?
黒須治
思い出のピンナップ・ガール?
「あんたあのコの何なのさ。」
これも70年代の話。“ダウンタウンブギウギバンド”という名前のユニットがありまして。「港のヨーコ」という歌を流行らせておりました。その歌詞の聞かせどころが「あんた、あのコの、何なのさ」というせりふ。
前置きが長くなりましたが、当時それをそっくり頂いてタイトルにした文章を広告業界誌で見かけ、強烈な印象が残りました。
「あのコ」とは企業を指します。「あんた」とは広告人です。
公害とかいう言葉が世間に出はじめて、成長神話というか、産業万能論にかげりが出てきたころのこと。といって、娯楽の殿堂、楽しければいいじゃん的な80年代はまだ遠く、企業の社会性、市民性のようなものが問われはじめた、そうしたころの企業と広告とのいい緊張感がその文章のバックボーンになっていたはずです。
企業が世間に伝えようとする情報のすべてを是としてはいけない。広告の制作者もまた一人の市民として企業行動や結果に対する批評眼をもって作品を作らなければいけない。
当時まだまだクライアント(依頼者)というよりもスポンサー(“旦那”)という言い方も残っていたなかで、筆者は広告の制作者の自立を呼びかけてくれました。筆者とは西田制次さん。何度もお話をうかがいに行って、何度かは赤坂でごちそうになりました。
なんだかいいセンスしていて広告に取り組む姿勢も文句無いのに、一流になれない制作者がいます。きっと、クライアントに、ちょっとだけ優しすぎるんです。きっと。
(この項、以上。)
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