舞妓さん&芸妓さん
こんばんわ。某・鬼営業の電話によって中断されてしまった昨夜のコラムですが、まあその続きといえばどうってこともなくて、馬乗りバカップルもその後はおとなしく映画を見ていたのでした。おかげで僕も、最後まで映画に没頭することが出来ました。派手な映画だったなぁ。トムクルーズファンにはたまらんだろうなぁ。
でも、こういうことがあると、去年の春、ある御方に祇園の御茶屋さんに連れていってもらった時のことを思い出します。「お前もそういう世界、一度は見とけ!」という感じで連れていってもらったのですが。
祇園では毎年、桜の咲き始める頃に、「みやこ踊り」という、芸事の大発表会を歌舞練場というところで行うんですね。壮大なセットの中、選りすぐりの舞妓さん、芸妓さんたちが鼓を打ち、舞いを見せてくれるのです。
祇園の歌舞練場自体も、古き良き時代をそのまま受け継いだような凄い造りで、その艶やかな踊りとともに圧倒されるばかりでした。
でもやはり記憶に深く残っているのは、その大発表会の後、彼女たちとお酒を飲み、食事をした時のことです。
地位も名誉もお金も手にした人たちが、なんでわざわざ祇園まで足を運んで遊ぶのかが、ちょっとだけ分かったような気がしました。
なんていうか、「しつけ」が実感できる場なんですよね、あそこって。言葉の応対、立ち居振舞い、ビールの注ぎ方、気の配り方、彼女たちの行動はすべてといっていいほど「しつけ」の上に成り立ってるんだなってことが、ほんと分かった。
「しつけ」ですよ?「しつけ」。この単語って、今の日本じゃほとんど死語になってるんじゃないかなあ。なんていうか、この概念自体が、着物や伝統建築と一緒で、絶滅寸前の重要文化財みたいになっている気すらしました。そういう意味じゃ祇園の御茶屋さんは「しつけのテーマパーク」ってことだよね。
でね、そういう希少種の動物みたいな「しつけを備えた女性」を目の当たりにすること自体が、こっちが居ずまいを正したくなるほどの快感なんですよね。「もうそれだけで十分」みたいな感じになってくるんですよ。「いいもん見せてもらいました!」みたいな。「祇園で妙なことをしようとする御仁はいらっしゃいません。」という女将の言葉がよーく分かりました。
それにしても「しつけ」かぁ。ほんと、遠い言葉になっちゃったなぁ。
日本という国に幻想を求めてやってきた留学生たちが失望して帰っていくのも、良く分かる気がするよね。