花粉症というコトバ
昨日、打ち合わせの席で、
あるネーミング作業を依頼されました。
その時クライアントのO氏からいただいた話の中に、
ちょっとはっとする話があったので、
ご紹介いたします。
まず依頼された内容を説明すると、
このネーミング作業は、新商品のネーミングではなくて、
人間の肌の、ある状態をさすネーミングなのでした。
「紙やすりザラザラ肌」とか「毛穴ひろがりオレンジ肌」とか、
まぁそういったコトバを作って欲しいという依頼だったのです。
すなわち、肌がある状態に陥った人々が、
その短いコトバを見ただけで、
「あ、これはまさしく今の私の肌の状態である」と
強く感じるような。
そんなコトバ作りを依頼されたのです。
その時に、O氏はこんなことを言いました。
「それは、たとえば「花粉症」のようなものなのです。
「花粉症」というコトバが生まれる以前は、
アレルギーなどの、他にも使えるコトバを代用して
その症状を説明していました。
だけど、それまでは症状をずばりと
ひとことで言い当てたコトバはなく、
なんか鼻の調子が悪いなぁ、原因は花粉らしいなぁ
という人々がいただけなのです。
でも、ある時「花粉症」というコトバが生まれて、
おれも花粉症かも、あたしも花粉症だわ、という人が
次々と現れて、花粉症患者が爆発的に増えたそうです。
そして、花粉症のマーケットが生まれたんです。
そんなコトバが欲しいんです。」
僕はその時、この話に強く同意していました。
「花粉症」みたいな、ある状態を示すための
伝わるコトバが欲しい。
とってもわかりやすく、しかし強い話でした。
そして考えてみるに、
同じ悩みや症状を持っている人々がいて、
でもそれを示すコトバがないから、
なかなか上手に他人に説明できない。
そんな人たちに、「あなたたちは、今○○○なんですよ」と、
ずばりと突いてあげること。
そして振り返らせること。うなずいてもらうこと。
これは、広告コピーを考えることとよく似てますね。
別クライアントのプレゼンで、この花粉症の話、
使わせてもらおうっと。
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