忘れられない人
今日で、このTCCのホームページに
駄文を書かせていただくのは最後になりました。
考えてみると、こうして私がコピーライターを
続けていられるのも、周囲のみなさんのおかげです。
これまでに、多くの人のお世話になってきましたが、
いくら感謝をしても、足りないくらい、
お世話になった先輩コピーライターがいます。
その人については、おもしろいエピソードが、
山ほどあります。
ここで紹介できない話のほうが多いです。
公序良俗に反するのはもちろん、
法に觝触しているものもありますので…。
ちょっとだけ、書きます。
その人は、金遣いがとても荒い人でした。
給料だけでは足りず、仕事の仮払い金で
生活していました。
仮払い金で、家賃や光熱費から遊興費まで、
まかなっているのです。
旅行をしたり、焼き物や壺、盆栽を買ったり、
エアコンを買ったり、羽毛布団を買ったりしていました。
その人の口癖は、
「大塚、困ったときは、いつでも言え。金、借りてやるから」
と、いうものでした。
そして、
「お前の代わりに、俺が遣ってやる」
こう言って、毎月、僕のお金をせびっていました。
僕が、ある広告賞を撮ったとき、
先輩がお祝いしてくれることになりました。
優しいところもあるもんだと感激し、
僕たちはレストランに行きました。
某ホテルの有名な店です。先輩が、
「お祝いだから、おまえの好きなものを頼め。
気を使うな。パーッとやれ」
と言ってくれたので、
ひとり2万円のコースを頼みました。
しかし、会計のとき、
「こっちは、おまえのために祝ってやったんだ。
金は、おまえが払うのが当然だろう」
と言われ、結局、僕が二人分のお金を払いました。
バイトを手伝ったときも、僕は気をつかって、
「僕はお金はいりませんので…」
と言ったところ、
「ばーか、おまえに金なんか払うわけないだろ。
やらせてやっているんだ。
おまえから金を取りたいくらいだ」
と、逆に怒られてしまいました。
また、文字校をしない人でした。
誤植、修正の繰り返しで、
若いデザイナーが勇気を出して、
「すみませんが、ちゃんと見てもらえませんでしょうか」
と、おそるおそる言っても、
「おまえが見ろ!」
と、一喝されるのが落ちでした。
その先輩に、友達の女の子を紹介したときも、
揉めに揉めてしまい、僕とその友達まで
絶交状態になってしまったこともありました。
本当はもっとおもしろい話があるのですが、
この場にはふさわしくないと思われますので、
またの機会にします。
コピーライターというより、チンピラみたいな人でした。
生き方、アイデア、コピー、すべてが斬新な人でした。
斬新すぎる面も多々ありましたが…。
でも、なんだかんだ言って、憎めない人でした。
人間的にも、あたたかくて、やさしくて、
魅力のある人でした。
その先輩は、突然、いなくなりました。
僕にとって、永遠に忘れられない人です。
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