リレーコラムについて

ウサギ泥棒。

原暁美

昨日に引き続き、今日もウサギの話です。

今からかれこれ四捨五入して20年近く前(大昔)、
私はウサギのように愛らしく(大嘘)、
銀座の某会員制クラブでパートタイムの
バニーちゃんをやっていました。

当時、コピーライターという仕事を知って、
宣伝会議の養成講座に通おうと思ったんですね。
で、授業料を即ゲットしたかった。
ま、それはいいとして。

バニーガールって、意外と重労働。
「あなた方はお店の調度品なのです」と言われ、
壁に寄りかからず、背筋をのばし、高いヒールをはいて
スカしたポーズでずーっと立っているんです。
お客の席に行くのは料理を運ぶ時、
水割りが空いた時(跪いてサッとつくる)、
タバコを取り出した時(胸元からライターを取り出し、
サッと火をつける)。それでもまぁ、水があったのか、
楽しく働いていました。そのうち、養成講座の
専門コースに進み、夜間パートを止めることにしたんです。

そしたら、なんだか欲しくなっちゃったのね、
バニーコート一式。私が老婆になったとき、
孫とか(いなけりゃ)近所の子供らとかを集めてさ、
「あたしゃ、今はこんなシワくちゃ婆だけど、
若い頃は小股の切れ上がった、そりゃ、
いい女でねぇ(←昔のことは何とでも言える)、
ほら、こ〜んなの着て、群がる男どもをバッサバッサと」
なんてヨタ話したいし。

・・・で、一式いただいてしまったんです。
もう時効だと思うけど、関係者のみなさま、その節は
たいへん申し訳ありませんでした。あのブルーのラメ入り
バニーコートは私が無断で頂戴してしまいました。

さて、後日談。ある日私は、ふと、バニーコートを
着てみたくなりました(ばかだね〜)。
耳、つけました。編みタイツ、はきました。コルセットも
ぎゅうぎゅう締めつけ、身にまとったバニーコート。
なのに・・・あれぇ。なんかヘン。太ったのかなぁ?
正面から見ると、ヘンじゃない。でも、
横から見ると、後ろ姿を見ると、なんかヘン!
あれぇ。あ、わかった! シッポがないじゃん、
とってくんの、忘れてるじゃん!!!

みなさん、なにをするにも抜かりなく、が鉄則です。

それでは、また、あした。

NO
年月日
名前
5720 2024.07.18 権八成裕 20年ぶり2回目
5719 2024.07.12 吉兼啓介 短くても大丈夫
5718 2024.07.11 吉兼啓介 オールド・シネマ・パラダイス
5717 2024.07.10 吉兼啓介 チーウン・タイシー
5716 2024.07.09 吉兼啓介 吉兼睦子は静かに暮らしたい
  • 年  月から   年  月まで