物書きの独りごと
柏木新
物書きの柏木新です。いや、コピーライターの柏木新か
な。
そのときの心情を吐露したもの。間に合わせにでっち上
げたもの。いろいろ作りましたが、暗い、深刻、怪しい、
不健全、死や宗教がらみのものなんてのは、キャッチフレ
ーズに向かないでしょうね。俳句としてはいいできと、自
分じゃ勝手に思い込んでいるんですが。
南 無 阿 弥 陀 仏 寒鴉六羽
「く」になり「つ」になりみみづの「し」
西日にはわずかに無念の色滲む
早春や啼かず飛ばずの大鴉
納まりがみな納まって枯れ野かな
風花やあなた殺していいですか
戒名を刻む石工に銀杏ふる
薄氷 山伏殿は無重力
春一番 大僧正の股くくり
金髪の修道女賭呆けて虹の下
兄さんはちゃらんぽらんよ鱚を釣る
女房をやや太らせて冬を待つ
それでは強引ですが、俳句とコピーと小説の関係を、思
い付くまま整理してみましょう。小学校で同窓だった英子
さんに、こんなふうに説明すればよかったのだと、あらた
めて後悔しているのです。
●俳句は季語という決まりがあります。―の言葉が季語。
★コピーは決まりなんてものはありません。なんでもで
きる。
◆小説も決まりなどないみたい。読者が面白がればいい
のだ。
●俳句にはチェックがありません。自分がよければいい
のだ。
★コピーはクライアントのチェックが入ります。すごく
厳しい。
◆駆け出し作家の小説には、「お願い」という形で注文
が付く。
●俳句は十七文字の縛りがあります。字余り字足らずも
あり。
★コピーは文字数の制限がありません。でも短いほうが
いい。
◆小説は枚数を指定されることがあります。いちおうは
守る。
●俳句はコピーとして使えます。ただし季語と十七文字
が厄介。
★コピーは俳句にはならないでしょう。形式的には可能
ですが。
◆小説は一部を使うか書き下ろしもらう。コピーとして
使える。
●俳句作家の収入は?句集を出版すれば、印税が入って
くる。
★コピーライターの収入は?ギャラは高いが印税は入ら
ない。
◆小説家の収入は?一発当たればざくざく印税が入って
くる。
まあ、ざっとこんなところでしょうか、最後の●★◆は
物書きとしての願望です。いつかこうなればいいなあって、
つねづね考えていることなのです。ではまた明日‥‥。
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