リレーコラムについて

ライトな鬱。

泉沢宗史

昨年の末、もういろんないやなことが重なって、結構仕

事にも疲れたりして、心が風邪を引いた。というとなん

かかっこいいけど、ライトな鬱病になった。結構、自分

にそういう傾向があるかなあ、とは気づいていたけど、

精神的にドーンときた。自殺なんて、こわくてできない

なんて思っていた自分が、初めて自殺する人の気持ちが

わかった。(でもこわくてできなかったけど)自分には

なんの価値もないと、思いこんだ。自分はいない方がい

いのかもしれない、とも考えた。(ほんとにそうかもし

れないけど) さすがに妻は心配になったらしく、いっ

しょに病院に行こうということになったが、なんかそれ

も情けないので、一人で心療内科に受診しにいった。

心理状態のついてのテストを受けた。結果は、強い鬱状

態にあるということだった。「ただね、君の場合、急激

になっているので、まあ、鬱状態なんだけど、いっちゃ

ってるかなあ、どうしようかなあ、困ったなあ、どうす

る? まだ一人でこれてるし、自覚もあるし。」と。そ

れをどうかしてほしいから、ここに来ているのだけれど。

どうもなんか、目の前の医師の方が変なような気がする。

視線は泳ぐは、話は支離滅裂。「薬、飲もうか、んん、

でもきついんだよね、薬だからねえ、飲んだ方がいいか

な、薬で無理矢理、気分をあげるから、ちょっとね。あ、

生薬というか、サプリメントでさあ、セントジョーンズ

ワートって知っている?あれがいいんだけど、もう普通

1日3錠だけどなんだけどね、つらかったら、6錠くらい

飲んでいいから、あ、このビルの2階に売っているお店

あるから行ってみてみようよ」と病院を出て、その店に

うことで、また病院に戻りましょう。で、夜は眠れてい

る? すごく早く目が醒める、そう、典型的な鬱の睡眠

だねえ、やっぱり薬かなあ。そうだ、睡眠誘導剤、あげ

るからさ、よく寝てみてよ。やっぱ、サプリでちょっと

試してみて。じゃ、今日は。」

なんかその医師と話すことで、癒されるのではなく、も

しかしたら自分の方がまだまともかもしれないというの

が、僕にとって治療になったような。まあ、毎日、毎日、

精神的にまいっちゃっている患者と会うのは、ほんとし

んどいと思うけど。

僕は1ヶ月ほど、そのサプリと睡眠誘導剤で、結構ラク

になり、まあいまにいたっている。読むところによると、

作家は鬱状態から名作を生むらしいけど、平凡なコピー

ライターの僕は、名作どころか、コピーもあんまり書け

なかったなあ。

みなさん、こんな時代だから、カラダも心も大切にね。

来週は、僕の机から4つ左の席に座っている、酒好きの

篠原充さんです。お楽しみに。

んじゃ、僕はこの辺で。さよなら。

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