新規開拓
「ハゲたリス」。chauve-souris=ショブ・スリ。フランス人は、空を飛ぶこうもりをそう呼びます。そのことを知ったのは、ローラン・プティ氏にお会いしたときでした。ダンスの魔術師と仰がれ、夫人のジジ・ジャンメールさんとともに、バレエファンを熱くしている大存在です。氏は、この秋のバレエ「ローラン・プティのこうもり」の打合せのために来日。公演ポスターのモチーフについて制作スタッフに直接会いたいという話があり、アートディレクターの秋田 寛さんと出席しました。
「じつは、自分で描いた絵を見せたかったのだが、ホテルに忘れてきてしまった。」つまりその絵はこうだと自らフレンチカンカンを踊り、こうもり男が翼をひるがえして飛ぶ様を見せてくれました。
なんだか面白いことになりそうな予感があります。秋田さんのことですから、バレエのポスターの定型に区切りをつける一作を浮かべているはずです。コピーもそうとなれば苦しみましょう。
その帰り道で、秋田さんに話そうとして飲み込んだ言葉がありました。
「とってもchauve-sourisな方でしたね。」と。