こどもにあげる。こどもからもらう。
サン・アド人
丸くくりぬかれた木の胴に、
飴色になめされた牛の皮が張ってある。
手のひらでポンと叩くと、ポンと音がする。
「たたいてみない?」
と初対面のこどもたちにその楽器をさしだしてみる。
みんな、こわごわ遠慮して、手を出さない。
ふだんの生活の中で、そんな楽器をみたことも
ましてや触ったこともないだろうから、
気が引けるのだろう。
でも、当方としては、そういう
“やったことのないことをこどもたちに体験させる”
というのがそもそもの目的。
その目的の為に、依頼をうけてこの場にきている。
「やってみなよ、音がでるんだよ」
と、ちょっと強引にやらせてみる。
いくらかの勇気と好奇心をもつ子が
ペシペシと頼りない手つきで、皮の表面を叩いてみる。
ペシペシと頼りない音がでる。
「ここをこう叩くと、もっといい音がするよ」
と、少しやり方を教えてみる。すると
こんどは、ポンポン、多少響きのいい音が出る。
こどもの顔に、嬉しそうな、そしてちょこっと
得意そうな表情が浮かぶ。
その瞬間のこどもたちの笑顔が、いい。
その笑顔は、もうオジサンになった自分が
永らく忘れていたものを思い出させてくれる。と思う。
——
ティーンエイジャーの頃から趣味で楽器をやっていて、
とりわけこの10年ばかりはラテン音楽、それも
キューバという国の音楽に惹きつけられて
演奏することを続けています。
(もちろんアマチュア。でも
コピーライター歴より音楽歴の方がまだ長い)
いま重点的にやっているのは
「コンパルサ」という
キューバのカーニバル音楽をするチーム活動。
手で叩く打楽器と、歌と、あと数本の管楽器だけで
構成される、ごくごくシンプルな音楽形態。
あの浅草サンバカーニバルにも何度か出場し、
けっこう賞をもらったりもしましたが、
今月、そのチームで、ある小学校に呼ばれ、
そこのこどもたちに
“見たことも聞いたこともない音楽”を
体験させてあげる役を仰せつかることになりました。
10月19日に行われるその音楽イベントは、
小学校のPTA主催という、あまりにも
ローカルすぎる内容ゆえに
このコラムを読んでいる人に
来ていただくわけにはいきません。が、
銀座gggで開催中の「サン・アド人」展なら、
みなさんに来て見ていただくことができると思います。
実は、私自身、会場現地をまだマッタク見てないのですが
準備の下っ端役として作業に携わった限りにおいて、
“けっこう面白い”内容であると思っています。
こんどの月曜には、当番で会場に赴くので
そこでやっとその実像に出会えると期待しています。
「サン・アド人」展。会期、10月4日〜30日。
よろしかったら、10/7の月曜日、
会場でお会いいたしましょう。(TAKASAWA)
【P.S.】
TCC40周年記念イベント『大コピー展』10/19〜10/25
も何卒よろしく (ここでもお会いできると思います)
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