リレーコラムについて

外国崇拝

横道浩明

むかし、クルマの仕事でプラハに出かけたときのこと。

現地スタッフも仕事熱心で、一生懸命やってくれる。
ただ、どうしても日本の広告ビジネスの習慣とは違う点が多く、
日本では当たり前と思ってることがなかなか聞き入れられなかったりする。

私が現地入りする前に、先行してプラハで準備を進めてくれていた
日本のプロデューサーから、ある早朝、緊急の国際電話が入った。

「今日、現地のスタッフが、とうとうキレてしまった」

話を聞くと、
ゲキ車の撮影場所のロケハンを進めようとしたら、
彼らはなぜかMacで、クルマをありものの資料画像と合成しはじめた。
クルマをロケ地に運んで実際に撮影した画像を日本に送らなくては
いけない旨を伝えたところ、彼らがキレた、と。

どうやら、向こうのスタッフは「大体のイメージ」さえ合意が得られれば、
あとは現場判断で任せてもらえると思っていたらしい。
「俺たちの言ってることが信用できないのか?」という不満のようだ。
その際に、プロデューサーはこう言われたらしい。

「俺たちが東欧人だと思ってバカにしてるんだろう!」

この話を聞いて、私は少しショックだった。
海外の文化や歴史に羨望を感じることはあったとしても、
たとえ、それが東欧であっても「バカにする」という感覚はない。

でも、彼らの言うことは、ある意味、合理的だと思う。
チェコは共産主義の時代に、産業や技術が立ち後れた。
それに比べ、日本は世界の中でも有数の先進国である。
そこには大きなコンプレックスがある、と。

この話で逆に、外国=憧れの対象、という島国根性が染み付いている
己に気づかされ、なんとも自分がチンケなものに感じられてしまった。
(今日は時間切れで、セッパ詰まってマジな話になってしまったなあ・・・)

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