ミナミの小さな喫茶店で
岩橋孝治
心斎橋の近く、打ち合わせの時間が延びて、とある喫茶店に入った。
マンションの一階にある平凡な喫茶店、と思ったが
なんとなく店内の雰囲気がへん。
よく見たら屈強な男の客が5人、全員パンチパーマでシャージ。
全員が朝のひととき、スポーツ紙を大開で熟読なさっている。
くつろいでいるようで、しかし、彼らは他の客が入ってくるたびに鋭い視線をなげる。
タバコの煙、もうもう。
エライ店に入ってしまった・・・。
出ようと思ったが、北島三郎に似たオババが険しい顔で注文を取りにきたので座りなおす。
コーヒーを頼んだが、生きた心地もしない。
恐怖を紛らわそうと本でも読もうかと思ったが、あいにく文庫の持ち合わせもない。
コーヒーを持ってきた険しい顔つきのオババに
「あの、新聞はありますか?」と聞いた。
それが失敗だった。
オババは返事もせず険しい顔つきのままスタスタと歩いていったかと思うと
さっきからスポーツ紙を読んでいるパンチパーマの男に近寄り
いきなりそのスポーツ紙をひったくった。
「なにすんじゃい!!おばはん!!!」
男は逆上した。
しかしオババはまったくひるまず、ぼくを指差し
「あの客が、新聞貸せ、ゆうとんじゃい!!!」
と、叫んだのでした。
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