「リトル・ヒーロー」
西畑幸一郎
僕らが悪かったんです。ときめきジャスト・シックスティーンという
若さにおごり、日夜のぼせ上がっていたあの頃。
天罰はある夏の夜に突然やってきました。
僕らの町には202号線と言う、海につながる素敵な道があります。
僕らはこの道をメインのツーリングコースとし毎晩走り回っていました。
ゴールは芥屋大門もしくは二見ヶ浦。満天の星空がとても素敵です。
その日も仲間と連れ立ってツーリングに出かけました。走りなれた道
です。みんな快調にスピードを上げて目的地の芥屋を目指していました。
すると中間地点の今宿と言う場所で、先頭集団が減速し始めました。
僕らが停車した数十メートル先に、黒塗りのとても大きな高級外車が2台
車体を横に向け道を塞いでいたのです。
そして、その車の前にはとても体格の良い、キツイ目つきのオジサマ方が
仁王立ちしていらっしゃいました。手招きされてます。
僕らにはUターンして逃げると言う選択肢もあったのですが、僕らは選択
しませんでした。地の果てまで追われます・・・。
僕らは素直にご指示に従い、約2時間程度、防波堤の上に正座させられ
きっちり絞られました。
なんでも、その道のコンビニの裏にある住宅街に一家を構えてある方々
だと伺いました。本当に恐怖の2時間でした。その時、仲間全員が無事
に開放されたのは、哲生と言う一人のヒーローのお陰でした。
彼は本当に恐ろしい口調でお説教を受けている最中に、こともあろうか
オナラをカマしたのです。しかも続けて2回、「アッ」と言う小さな声も
漏らしつつ。死にそうでした。死にそうなくらい怖いのに、死にそうなくらい
可笑しい。あの時の哲生の表情が忘れられません。
僕らはラッキーでした。オナラ2発で情況が好転したのです。それまで鬼
のような形相だったオジサマ方の表情が一変し数時間後には無事、開放
されたのです。一発だったらどうなっていた事か・・・。
煮詰まったクライアントとの会議の席、硬直してしまったプレゼン後の
質疑応答、最近、良くこのエピソードを思い出します。
え〜。くだらない与太話にお付き合いくださった方がいらっしゃいましたら
どうも有り難うございました。
福岡へお寄りの際は、そっとして置いてください。
次週は同僚にして同級生。信頼できる人格者。近藤 成亀さんに
バトンタッチ。近藤さんよろしくデス。
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