リレーコラムについて

ふっきれた男。

高田伸敏

ふっきれた。39歳にして。やっと。
きっかけは、村松だ。いや、松村のひとことだった。
「高田さんって、自分で思ってるより、ぜんぜん、単純ですよ。
ってゆーか、みんな高田さんより、ずっとずっと悩んだり考えてますよ」
はいはい、そーですか。と、気軽に受け入れられる発言ではなかった。
それまで僕は、自分のことを、けっこう複雑な男だと思っていたから。
えらそうに見えても、気配り上手とか。
せこそうに見えても、太っ腹とか。
正直そうに見えても、狡猾とか。その見えても以下が、ない。らしい。
つまり、えらそうで、せこくて、正直とか、ね。うわ、単純。
別の後輩にも同じこと言われた。高田さんのつくるものって男っぽいですよね、とも。
だから、開き直ることにした。どうせ、わかりやすい男なら、
とことんストレートな表現をつくってやれ、と。

そのひとつが、最近、つくったCM。
かっこいいのが作りたかった。男がしびれるよーなやつ。
昔のウイスキーとか、男性化粧品とか、世界観としてイカシタやつ。
自分がかっこいいと思った、あの手触りと残像を、
今の時代に、自分というフィルターを通して再現してみたかった。
石毛監督には
「MG5みたいなカッコよさで、あの、いかした頃の感じで」とリクエストして、
鈴木慶一さんには
「JBの60年代の未発表曲、発見!みたいなやつ」とお願いして。
歌詞もストレートなのを書いた。だって「進みつづける男」だもんね。
強い男がいて、強い音楽があって、強いメッセージがある。
とうとう自分が見たいという欲望でCMをつくってしまった。
世の中はカンヌを向いているというのに、僕はいったいどこを向いているんだろう。
「俺が感動しないCMは、誰も感動しない!」みたいな、わがままっぷり。
僕は満足していますが、みなさんはどうでしょう。「ヤクルト400」のCM。
渡辺謙さんが、雨に打たれて吼えてます。

というわけで、今週、コラムを担当することになった、高田伸敏です。
松村とは同じ会社の東急エージェンシーにいます。
ちょい、ひげ生えてます。眼鏡、ちょい色入ってます。
性格、ちょいエロ入ってます。
なんでも「ちょい」を付けるとモテるらしいと「LEON」に書いてました。
愛読してます。嘘です。
1週間、よろしくお願いします。ふっきれていきます。

NO
年月日
名前
5805 2024.11.22 中川英明 エキセントリック師匠
5804 2024.11.21 中川英明 いいんですか、やなせ先生
5803 2024.11.20 中川英明 わたしのオムツを替えないで
5802 2024.11.19 中川英明 ドンセンパンチの破壊力
5801 2024.11.18 中川英明 育児フォリ・ア・ドゥ
  • 年  月から   年  月まで