僕が狂っていた頃。
おとといも、昨日も、
人に内緒にしている話を書きました。
なので今日も、あんまり人に言っていない話をしようと思います。
実は僕、最初の会社をクビになっているんです。
もういまから10年以上も昔、24歳の頃のことです。
当時のことは、苦いような、ばかばかしいような、
わけのわからない記憶として残っています。
その会社は30 人くらいの規模で、
PR誌などジミめの仕事をやっているところでした。
はなやかな広告がないことにやや落胆したものの、
何もできないシロウトの僕は、
書く経験を積める場所と前向きに考え、入社したのです。
いろんな人たちにかわいがってもらいながら、
わりと楽しくやっていたのですが、
だんだんある人間のことが気になりだしました。
当時42, 3歳の新聞記者上がりの編集ライター。
その会社を事実上、仕切っている人でした。
僕は彼に気に入られ、仕事が終わると、
よく飲みに連れていってもらったりしていたのですが、
しかし、いつの頃からか、
彼の中にある政治的なずるがしこさや抜け目なさが
どうしようもなくうっとうしくなり、
あるときから一切のコミュニケーションを断ったのです。
完全なシカトです。僕は、とてつもなく若かったんですね。
彼が上に立つ仕事であっても、
他の先輩にチェックをお願いしたり、
かなり当てつけがましいことをしていました。
そして当然のように、僕はホサれました。
でも、自分からは絶対に辞めないぞと心に決めていたのです。
2年以上、ホサれた日々はつづきました。
仕事もないまま給料をもらい、
周囲の視線に耐える日々はさすがにつらかったけれども、
それでも僕は辞めませんでした。ヤバい目してたと思います。
きっと、何かに憑かれていたんでしょうね。
そして、ある年の4月、社長室に呼び出され、
社長から退職勧告を言い渡されました。
そのときの晴れやかさ、
すーっと全身が軽くなっていくような感覚は、
それ以前も、それ以降も、味わったことがありません。
ああ、これで終わったんだなぁと。しかし、長かったなぁと。
35歳になったいま、当時を思うと、
あの頃の自分が不思議でなりません。
なぜそこまで毛嫌いしたのだろうかとか、
なぜそこまで意固地になったのだろうかとか。
ずるいって言っても、
あのくらいの人はたくさんいると思いますし。
それとも、僕もずるくなったということなのかなぁ。
彼がこの文章を読むことはまずない、と思って書きました。
でも、どこかでばったり会うような気はします。
なんとなく、そう思って今日まできました。
そのとき僕は、彼になんと言うのだろう。
きっと、ムスッとした顔で通りすぎてしまうんだろうなぁ。
1378 | 2005.02.26 | 彼に追いつく日。 |
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