福岡での武者修行。
米村大介
今までの2回は、コラムっぽく書こうと背伸びして、空回りしたので、今回は身の丈の話をします。
僕が東京に来る前に4年間お世話になった、福岡のアドパスカルというプロダクションの話。
離れて見ると、あ、なんだかすごいなって思う会社です。
電通九州の下の階に位置する40人くらいのアドパスカルは、
東京のたき工房と電通テックを足して2で割って20%に圧縮したような会社。
グラフィックの仕事が主だけれど、テレビもラジオもなんでもござれと引き受ける。
カタログのスペックを左手で書きながら、チラシの文字校に目を痛め、ラジオ原稿を口笛吹きながら
書き、テレビのコンテをひねり出す。そして忘れかけてたポスターのキャッチコピーを泣きながら書く。
だから当然、連日オールナイトでやってることも多く(赤坂の灯台とか呼ばれてたらしい)、
僕はハレパネをベッドに、年鑑をまくらにしてよく寝泊りしてました。
で、びっくりするほど給料が安い。
マクドナルドより安月給なおかげで、事実、ハングリー精神を忘れずにコピーを書ける。
でも遊ぶ時間もないくらい仕事があるから、どうせお金を使うヒマがない。
って、変な具合にバランスが保たれているという・・・
そんなバカな話もバカにできないのは、
僕が入社したての頃に机を並べていた6人が、今ではTCCの会員になってるという事実。
いや、コピーライター、6,7人いるくらいの規模の会社ですよ。
どうです、すごいでしょ、社長。だからもっと給料あげてくださいよ。
って上がらないからみんなやめていくわけですが・・・。
でも、ハングリー精神を持ったコピーライターになりたい!って人、
福岡はいいですよ。バカになれますよ。(それはぼくだけか)
もし、その気がある人は、面接のとき「米村大介のリレーコラムを見た!」とでも言ってください。
社長のつまらない話がさらに長くなることでしょう。(今は募集してないかもしれませんが。)
あ、でもちょっとはいいとこ書いとかないとですね。
そんな毎日鞭ばっかのところでも、たまにはアメがあったんです。
それは、徹夜で仕事していると、朝から社長に千円もらえるというシステム。
やすーいアメですが、この受け取るシーンがまた、照れくさい。
たまにしかしゃべらない親父との会話みたいで。
「米村君、ちゃんとメシ食わんといかんよ」
そして、金庫から今取り出してきたばかりのピン札をもらうのだ。
僕はそのお金でひとり、朝マックを食べながら、思う。
「はぁ、早く会社やめなきゃな」
いかんいかん、あんまりいい話にならなかった。
ま、とにかくマゾっ気があるコピーライターにはおすすめな会社です。
以上、あっけなく夜が明けて一日遅れましてすいませんでした。
もう、一回書きます。
ふぅ。
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