Y教授となんちゃって理系学生
出欠のつく必修科目以外は授業禁止!
その分、コートで一球でも多くのボールを打て!
体育会の軟式テニス部だったボクが、
学生時代、唯一マジメに勉強したといえるのが、
Y教授の「量子(りょうし)化学」でした。
内容の他にも魅力的なことがひとつ。
それは、実験しなくていいこと。
化学の研究といえば実験が主なのですが、
量子化学に必要なのは、
紙とエンピツ、そして、パソコンだけ。
化学実験って薬品やら危険なので、
そっちには行きたくなかったんですね(笑)
ただ、この量子化学という分野は
化学にはめずらしいほど
物理と数学の知識を必要とします。
実験主体の化学の世界では、
どちらかというと異端児的存在でした。
こむずかしいので、学会でもあまり人が寄ってきません。
漠然と将来のことを考えていたある日、
ふと、研究をしているときより、
学会発表の準備をしているときの方が
楽しんでいる自分に気づきました。
理論化学をよく知らない人に、
自分の研究を分かってもらえたときの喜び。
もっと人と接点がもてる仕事がしたい。
そう考えて辿り着いた答えが、広告でした。
電・博もそのとき知ったくらいで、
当然、就活は困難を極めました。
気づいたら、2ヶ月も研究室に行ってない。
当然、Y教授からは「留年だ!」的プレッシャーが・・・
ようやく某代理店から内定が出たある日のこと。
恐る恐る報告に行くと、なぜかとても喜んでくれました。
そんなY教授とは今でも交流が続いていて、
今年の年賀状には、どこで見たのか、
新人賞を受賞した村田葬儀社のコピーの
感想が書き添えてありました。
ネットで調べたらしいのですが、面食らいました。
なんか・・・うれしいような、はずかしいような。
あ!
Y教授から学んだことといえば、
謙虚であり続けることと、集中し続けること。
不夜城といわれる理工学部キャンパスの中でも、
彼のいる部屋だけはさらに別格でした。
明け方であろうが、日曜夜であろうが、いる(笑)
そんな彼を支える奥さんもスゴいけど、
理論化学の分野では一流です。権威です。重鎮です。
なのに、誰よりも研究している。休まない。
大学院まで行って学んだのがそれかよ!
ってな感じですが、ま、いいじゃないですか(笑)
明け方まで仕事をしたとき、ふと、
Y教授のことを思い出すときがあります。