名古屋の恋 1
はじまして。川上さんからバトンをうけました、植田といいます。
長らく名古屋エリアが続きましたが、僕で最終回。
ということで僕は、名古屋の広告事情については一切ふれずに、恋の話をしようと思います。
人様にお聞かせするほどのものではない、青臭い話なのですが、
僕にとっては甘酸っぱい大切な思い出です。
では一週間、お付き合いくださいませ。
それは、僕が社会人になり、何の因果か名古屋配属になった1年目の秋のこと。
名古屋といば、手羽先、天むす、水商売。
ということで、僕はとあるヘルス嬢に恋をしました。
彼女の名は、鈴子。
北国を思わせる白い肌と大きな瞳が魅力の、すこしミルクの匂いのする女性でした。
そして、彼女の特徴はもうひとつ。
彼女は、額のちょうど真ん中のあたりに、いつも、
孫悟空の輪っかのような感じで、「鈴」をつけていました。
その鈴は、プレイ中、彼女が頭を上下させるたびに
チリ〜〜ン、チリ〜ン…
チリ〜〜ン、チリ〜ン…
と心地よい鈴の音をならすのです。
一度、「ソレはなに?」と尋ねると、彼女は少しうつむいて、こう答えました。
「ウチ、前世でとっても悪いことしてしまってん。 だから神様に付けられたんよ。」
きっと、始めての一人暮らしが寂しかったのでしょう。
僕はすぐに、彼女に夢中になりました。
そして、その年のクリスマスイブ。
僕は意を決し、彼女のために編んだ、手編みのマフラーをプレゼントしに
お店へと向かったのです。
(つづく)