リレーコラムについて

犬紙・・・

加藤充彦

2週間に渡りお届けしてきた
中堅リーマンのつぶやきも、今日で終わりです。

ふつうは最後に次の人を紹介して
さらっと終わるみたいですが
このコラム書くの、長年の夢だったので、
しつこく本文アリでいかせてもらいます。

テレビ番組の仕事を通じて
広告の仕事を考えるシリーズ、
最後のテーマは「エゴ」について。

自分が死んだとき、棺桶にひとつだけしか
作品を入れられないとしたら
ナニを入れますか?
番組をやる前は、コレを入れて、というの
ありました。ハッキリと。
でも、いまは、この番組のDVDを入れます。
これまた、ハッキリと。

なにが違うのか?
さっきデスクで昼寝しながら考えました。
そこで行き着いた結論は、エゴの強さです。
番組とはいえ、いろんな制約があって
その制約はCMと比べても
遜色ないくらいいろんなことありました。
にもかかわらず、この仕事だけは
自分が入っている濃度が高い。

それは広告じゃなくて番組だからでしょ?
と思われるかも知れませんが、
番組とはいえ、人のお金で作っているのに
かわりはありません。
権利だって会社に帰属しています。
誰かの目的のために、
自分ができることを仕事としてやった
という観点では、なにも変わらないんです。

じゃぁ、なぜその差が出たのか?
それは自分の気持ちの持ち方なのかなと思います。
遠慮があったんです。広告の仕事のときは。
やっぱり誰かのお金で
誰かのために、誰かの生活をかけて
やっているっていう意識が。
でもそうじゃないと、それは甘えだと、
いまは思います。

誰かのためにやることと
自分のエゴを入れることと
本来は、なんの矛盾もないはずです。
むしろ全力でやるということは、
エゴまるだしでやってこそ、
と思うように今はなりました。

そして自分が面白いと思う広告には
作り手のエゴが濃密に感じられる。
僕がコピーライターとして
足りないのは、その覚悟だったようです。
そういえば、自分が初めて作った広告、
新人1年目の冬、
毎日広告デザイン賞の意見広告の部に応募して
最高賞をもらった広告には、技術はなくとも
強烈なエゴがあったなぁ・・・。

あれから10年、いろんなことがありました。

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