断言する人
30代も後半になると、昔のようにはできなくなることが増えてくる。
徹夜が2日はもたないとか、昔ほど飲めないとかのどーでもいいことのほかに、
私は人との会話で「言い切ること」、「断言すること」がなかなかできなくなった。
20代は、今思えばたいしたことのない自負心をバックに、あれこれ言い切っていたような気がする。
あの時はあの時で真剣だったのだろうけど、アホだったなーと思う。
その反面、断言場面がめっきり減った私を、てごたえがなくなったと人は感じて
いるのではないか、つまらなくなった、と思っているのではないか、と気にした。
でも、まあ、いいや、と思っていた。
そんなとき、茂木健一郎さんの対談を読んでいて、目ウロコな一節に出くわした。
女性の好みを聞かれて、
“僕は断言する人が苦手ですね。だって、断言できることなんか何もないじゃないですか。
断言する人は、断言することで、物事が変化する可能性を止めてしまう。
僕は「途方にくれている人」が好き。いくつになっても「それって、わかんないよねー」って
言っている人がいい。“
という内容を答えていた。一言一句は正確ではないけれど、ほぼ、合っているはず。
ちょっと、ジ〜ンときてしまった。
こんな見方ができる人って、そうはいない。
さらに対談が進んで、茂木さんがフランス哲学の真髄を一気に理解したときのことを
“今の自分が、突然80歳の女性に恋をしないともかぎらない、
そういう可能性があるということを理解していることが大事なんだ、とわかった”
と語った。
フランス哲学はよく知らないが、私はここ何年か同じような思いを強くもっている。
何が起こるかわからない、ありえないことはない、今の状態がずっと続くことなんてない。
だから、断言なんかできるはずもない。
日常会話の中で言い切ることの多い人の言葉は、私にはどことなく空虚に聞こえる。
でも仕事は別。
断言=決定!断言=判断!
ということで私はきっぱり「今日は帰る。ホテルに連泊は良くない。」と言い切って
そろそろ会社を出ようと思う。
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