ボンネットバターロール。部品としての存在価値。
赤松隆一郎
僕んちには、家族用のクルマが一台と、僕しか乗らないクルマが一台あります。
アルファロメオ145っていうんですけど、
名前だけ聞くと、業界っぽい感じがする人もいるかもですが
いたってシンプルなハッチバック。黒のマニュアル車です。
中古で安く買ってもうすぐ10年になるので、だいぶくたびれて来てるのですが、
よく回るエンジンとデザインが大好きでなかなか手放せず、
オートマ限定の妻が乗るクルマを別に購入するはめになっちまいました。
カーナビ山本さんはそっちのボンネットに住んでます。
さて、事件はある日曜日に起きました。
ロメオくんのボンネットを開けて、ブレーキオイルの減りを見ていたら
息子がやってきました。
「パパ、こっちのクルマには山本さんはおらんの?」
「いないよー。カーナビないからな。」
「ふーん。僕ものぞいていい?」
「おお。いーよー。見てみ」
「おおおっ!パパのクルマはおからじゃなくてパンを食べるんやなあ!!」
「・・・・? パン?」
「だって、ほら」
「はにゃああああああああああああああああああああ」
息子が指差したエンジンフードの上に
スーパーとかでよく見る、袋売りされているバターロールが。ちょこんと。
「えええええええええええええええええええええええ」
しかも誰か半分くらい食べてるんですよ。
おまけにエンジンの熱も手伝ってか、カリッとしちゃって。
もう、そこに、あまりに自然に存在しているので、
僕は息子に指摘されるまで、まったく気がつかなかったんです。
エンジンルームに食べかけのパンですよ?
こんなアナーキーな組み合わせ、考えても出るもんじゃないですよね。素敵。
とか言ってる場合でもなく、
まずその時僕が、激しく揺さぶられる意識の中で思ったこと。
これは、部品か?
ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、
イタリアのクルマはかなりファンキーです。何が起きてもおかしくない感じ。
食べかけのバターロールがエンジン部品の一部になってるってことも、
天気のいい日曜の昼下がりには起きてもおかしくねーんじゃねーか?
そこでまず、
パンを残したままエンジンをかけました。
エンジンかかりました。
エンジンを止め、
パンをそーっとはがしてエンジンかけました。
エンジンかかりました。
じゃあこれ、ただのパンじゃねーか。
いったい誰が? なんのために?
もしよかったら、今週の日曜にでも、
あなたの家のクルマのボンネットを開けてみてください。
手羽先とかツナサンドとかプリンとかマコガレイの煮付けとか乗っかってるかもしれません。
そしてそれは部品かもしれない。
また明日。
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