リレーコラムについて

案内の才能

澁江俊一

ふつうの人は一年に何回くらい
道を聞かれるものなのでしょう。

僕は控えめに言って年間4〜50回くらいです。
個人的な感覚からするとやや多すぎるんじゃないかと思うんですが。
まあ平均値がわからないのでなんともいえません。
もっと多い人もいるかもしれません。

すごく道に詳しいわけじゃないです。人並みです。
でも道を聞く人はたいてい目的地のそばまで来ていながら
迷っているパターンが多いので案内しやすいのです。
ただ、ときどき例外があります。

品川駅の近くで聞かれたのはなぜか清水寺でした。
外国人の方でしたが、どうやら英語が
わからないようでしたので(僕も話せませんが)
メモ用紙に絵を描いたりしながら、まずは新幹線に乗って
京都という駅で降りてくださいと伝えました。
説明してからその場を立ち去り、念のため振り返ってみると
その人はなぜか駅とは別のほうに歩いていきました。
ちゃんと清水寺にたどり着けたのでしょうか?
それとも別に清水寺に行きたいわけじゃなかったのか?

ダイエーの目の前で
ダイエーはどこか聞かれたこともあります。
こういう場合って本当に難しい。
目の前ですよ、といかに相手に恥ずかしい思いをさせずに伝えるか。
僕は一瞬辺りを見回して、僕自身もあんまりこの辺に
詳しくないことを感じさせつつ、あ、ここですよ!
と、ほんのちょっとうれしさをにじませながら伝えてみました。
ダイエーのロゴ最近変わったから、わかりづらいですよね。
というフォローも忘れずに。

夜、知らない土地でタクシーに乗ってたら
運転手さんが迷ったらしく僕に道を聞いたこともあった。
プライドが高かったのか、すでにかなり目的地と遠ざかっていた時点で。
カーナビがついていなかったので暗い車内で地図帳を見ながら
案内しましたが大変でした。ずいぶん安くしてくれたけど。

あとどういうわけか海外に行くと道を聞かれる確率が高くなります。
香港や北京で現地の人に聞かれたのはまあ理解できる(教えられませんが)、
でもフランスでアメリカ人らしきおばさんに両替の場所を聞かれたときは
いくらなんでも…と思いました。フランス人に聞いてくれよ。

道に迷った人と僕の間に何人かいるにもかかわらず、
なぜか彼らを通りすぎてわざわざ僕に道を聞く人もたまにいるんです。
交番のおまわりさん的オーラが僕から出ているのでしょうか?
一見話しかけづらい顔だと自分では思っているんだけど。
誰もが認める道案内の才能があるのかもしれません。
もっと他の才能がよかった。

そんな僕が道ではなくうちの会社を案内することになりました。
電通の学生向け会社案内をつくることになったのです。
来年もし読む機会があったら、このコラムのことを思い出してみてください。

一週間ありがとうございました。
バトンを受け取ってくれるのは井指陽(いさしよう)さんです。
ギリギリなのにOKしてくれて本当にありがとう。

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