乗りかえないと、遠いところまで行けない。
こんばんは。博報堂クリエーティブヴォックスの井村光明くんからバトンを引き継いだ、谷山雅計です。TCCの入会年度は1987年。もと博報堂、いまはフリーのコピーライターで、最近のおもな仕事は、東京ガスの「ガス・パッ・チョ!」資生堂の「TSUBAKI」などです。今週のコラム、よろしくお願いします。
さて、バトンをくれた井村くんの前回の文にすこし補足をしておきますと、ぼくは井村くんのことを「永遠の不発弾」とだけ呼んでいたわけではありません。他にも「排気量6000ccの空ぶかしヤロー」とか「球速160キロのノーコンピッチャー」とか「ルー大柴に似ているけど、ルー大柴よりうるさい」とか様々な賛辞を、入社1年目とか2年目の井村くんに送っていたわけですよ。まあ、最後のは単におちょくってるだけかもしれないけれど(しかもそれがいちばん当たっているかもしれないけれど)、それ以外のは、大きな可能性を秘めている人材だということをちゃんと認めていますよね。その後の井村くんの活躍ぶりから、ぼくの先見の明はみごとに証明されたと思います。・・・ということは、まあここで終わりにして、話は変わりますけど。
まず、最初に宣言しておきたいんですけど、ぼくはコピーライターだけど筆不精です。という話をすると「なに言ってるんですかー」と笑うひともいるけれど、本当なんだからしょうがない。コピーはねー、いまでも一晩100本書けと言われれば書けちゃう自信はあるけれど、それと文章とは別なんですよ。黒人のひとにもダンスが下手なひとっているでしょ、あれみたいなものと思ってください。で・・なにぐだぐだ言い訳してるかというとですね、そんなぼくだから、これから毎日あたらしいコラムを書くのはちょっと無理があります。そこで、名案。リサイクルの時流にのって、ぼくも過去の文章をちょっと使わせてもらいます。ぼく、1年半くらい前からミクシーでたまーに日記(というより2週間にいっぺん記)を書いているんですが、その中で書いた文を再掲載します。もちろんそのままというのも何なのでちょっとは手をいれますけど・・。ミクシーでは「友人まで公開」なので多くのひとにとっては初出の文章なはずですから許してください。あ、そうかそれならシラを切ってきょう書いたふりして出せばよかったのかな・・といま気づきましたが(笑)、嘘をつくのもよくないですしね。
と言うわけで、やっと始めます。コラム第1回、タイトルは「乗りかえないと、遠いところまで行けない」です。
春です。就職活動だけでなく、移動や転職の時期でもありますね。
ぼくの回りにも、会社を移るひとや、広告の仕事じたいを辞めて別の道へ進むひとが、何人かいるようです。
この時期になると、いつも思い出す言葉がひとつあって、それがこのコラムのタイトルなのですが。
「乗りかえないと、遠いところまで行けない」
これ、実は、ぼくが先生をやっている、電通の新人コピーライティング研修で、何年か前に生徒さんが書いてくれたコピーなんです。
課題は、転職情報誌の「とらばーゆ」。
書いてくれたのは、コピーライターじゃなく、新入社員(当時)のデザイナーさん。
たしか駅にある電車の路線図のようなビジュアルも、くっついていたような気がします。
ぼく、個人的にこのコピーが大好きなんですね。(あ、もちろん、いっしょに先生をした電通の磯島くんも高く評価していましたが)
このコピーを見たときに、じぶんが前の会社をやめたときの気持ちで、なんだかじぶんでも説明のつかなかっただいじな部分に、はっと気づかされてしまったというか。
そうか、ぼくが会社をやめたかったのは、遠いところまで行きたかったんだなー・・・と、深く納得してしまったのです。
もちろん世の中には「乗りかえ過ぎて、どこへも行けない」ひともたくさんいるので、なんでもかんでも環境を変えればいいというものでもないですが(笑)。
この春、あたらしい道に踏みだす、知り合いのみなさん。
あなたの決断が、あなたを遠いところまでつれていく力になるよう、祈っています。
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