野生動物とコピーライター
こんにちは、佐々木康晴です。
ええと、
なんだかここにややこしいことばっかり書いているような気がする、
インタラクティブ系コピーライターの佐々木ですが、
アナログっぽい仕事も好きです。
10年くらい続けている、とあるCMの仕事があるんですが、
それはもうデジタルとは完全無縁。
おおざっぱに言うと、
野生動物の生態を紹介するというシリーズのCMなのですが、
僕の最初のお師匠が、僕がデジタルしか知らない
視野の狭いライターにならないように、と、この仕事をくださったのです。
コピーライターって、なかなかロケに行けませんよね。
だから、CMがメインの同期とかADの先輩が、
ロスとか、ニューヨークとか、イタリアとか、
素敵なところに撮影に行くのをうらやましく眺めていたのですが、
このお仕事のお話を頂いたときには、
僕もついにそういう素敵なロケに行けるんだ!と喜びましたよ。ホント。
でも、生まれて初めてのロケ地は、ロンドンとかパリみたいな
素敵なところじゃなくて、アルゼンチンの山奥。
それもロケ隊が先に現地入りしていたため、僕だけ現地集合、
24時間ひとりぼっちの旅。
ヒヨッコなので飛行機の乗り換えもよくわからないし、
言葉も通じない恐怖。
そして、3週間以上のロケだというのに、
行きの飛行機で奥歯の詰め物が外れました。
さらに生まれて初めての海外ロケで、生まれて初めてロストバゲージ。
夏のアルゼンチンで、1週間以上、ほぼ着の身着のままでした。
泣きました。
中国の奥地ロケでは、空港からまた一人で撮影地点まで、
未舗装でこぼこ道路をクルマで13時間。お尻の皮がむけました。
パプアニューギニアでは、空港を降りたら、
首狩り族の皆さんが軽トラの荷台にぎっしり乗って走ってきました。
昼間でもひとりで出歩くと殺されるかレイプされる(男でも)と言われ、
本物のおまわりさんを2人やといました。
カメラをまわす横で、彼らはショットガンを構えていました。
それからマダガスカルでは、
デジタル野郎として世界対応携帯とPCを持っていきましたが、
携帯は当然圏外。そもそも宿に電気が来てませんでした。
シャワーは水です。
水と言っても銭湯にあるコーヒー牛乳よりも濃い茶色の、川の汲み水です。
もちろん、それを飲んだら何か素敵な生き物がおなかの中で育つそうです。
マラリア蚊にも怯え、毎日蚊取り線香を4本ずつ焚きました。
そして相手はいつも野生動物。
コピーライター唯一の武器、言葉は、彼らの前では無力です。
オーストラリアでは、大型鳥エミューに向かって挨拶代わりに
映画ベストキッドの「鶴のポーズ」をしてみたら、
ダチョウなみのスピードで追いかけられて、一瞬、死を覚悟しました。
こんな感じで僕の出張はずっとアナログ、ずっと僻地。
少しでも言葉が通じる、素敵なニューヨークに出張で行けたのは、
入社から11年以上も後のことでした。
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