みつごのたましい、もちつづけ
岩崎亜矢
青山で働きたい。
ほんとアホみたいな話ですが、その思いをずっと強く抱いていました。
今日外苑前を歩きながら、「なんでかなあー」と、ぼへーっとつらつら考えていたのですが、「ああそっか」と。
昔、私が幼い頃、父が青山に事務所を構えていました。
たぶん3〜5歳頃の時期だったと思うのですが、母と一緒に青山一丁目にあるビルの一室に行っては、資料部屋の資料をいろいろとあさったり、コピー年鑑をみたり、ビルの一階にある喫茶店でツケで飲み食いしたり、ビルの階段をひたすら昇り降りするというややアヴァンギャルドな遊びをして過ごしていました。
その頃うちはよみうりランドの近くに住んでいたので、電車に乗って都会に行くという行為そのものがもうすでに輝いているのに、駅は地下に潜るし、電車を降りて地上に出れば、なんだかこざっぱりと整った町並み、そして、スマートに闊歩する人たち。うわあもうなんだこれは。子ども心に、わけのわからぬ感動に包まれたのです。
思えば、その事務所の入っていたビルで過ごす非日常なたのしさと、ビルの向かいにあったファミリアでたまにぬいぐるみを買ってもらう喜びと、いつもは見慣れぬ都会のおされな風景が混在し、ぐぐぐっと美しい思い出が私の中でつくられていったのでしょう。
三つ子の魂百までと言いますが、10歳になっても15歳になってもはたちになっても25になってもその思いは色あせることなく、とうとう29歳の時に青山で働くこととなりました。それが、パラドックス・クリエイティブに入った、私のひとつのきっかけです。
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