「義務教育」
波多野順
こんにちは。波多野です。
ボクの人生に対する苦手意識を見つめなおすことで、
よりよい人生への指針を導き出そうという壮大な企画も
とうとう最終回になりました。
前の4回を改めて読み直してみましたが、あれから何かを導き出すのは、
相当難しいですね。やめましょう。
ところで、
みなさんは幼稚園・保育園が義務教育ではないことをご存知でしたか?
ボクは、幼稚園を半年で中退しました。
この話をすると、多くの人が、「幼稚園とか保育園って行かなくていいものなの?」とおどろきます。
幼稚園のなにがイヤって、母親といた方がぜったいにおもしろいのに、
それを引き裂かれて、黄色いバスに乗せられてしまうところがつらかったです。
あとは、折り紙とか粘土に興味がなくても、
なにかを作ったりしなければならないところです。
ボクは授業中、ずっと逃げ出すことだけを考えていました。
下足箱でピックアップした靴をどのタイミング履くかとか、
バッグは左手でつかむほうが時間のロスが少ないとか、
頭のなかで脱走のシュミレーションを繰り返していました。
家から園までは、バスで30分くらいの場所だったので、
子供の足では歩いて帰るのはムリでしょう。
でも、そんなことはおかまいなしで、ぜったい家に帰る!と念じていました。
じっさいボクは、週に3日くらいは、先生がむこうをむいた隙に脱走しては、追いかけられ、連れ戻されていました。
とにかく家に帰りたかった。母といっしょにいたかった。
いま考えても悔やまれるのは、靴を履かずに逃げればよかったな、ということです。ボクは生真面目な子供だったので、靴下のまま外にでることができなかったのです。だから、靴を履くタイミングで捕獲されることが多かったように記憶しています。靴なんかほっといて、とりあえず外に出てどこかに隠れれば、1回くらいは成功したかもしれないのに。
まあ、そんなこんなで、両親に退園を懇願し、「小学校は辞めない」という条件で、無事、退園することができました。(小学校は辞めないって、そもそも小学校は辞められないし!ウチの親もずいぶんとザックリしてますよね。)
最終日の夜に、担任の先生が家まできてくれて、4輪駆動のバギーのおもちゃをくれたのが印象的でした。いい先生でしたけどね。昼食にいつもピンクのウエハースでサンドされたパンを食べている、大きい女性の先生でした。
ああ、今まで出会ったすべてのひと!お元気ですか??
愛しています。
来週のコラムは、牛島彩さんです。よろしくお願いします。
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