「そら」のはなし。
アメリカの広告会社から特別講師を招いて、
とてもハードな研修が三日間行われた。
課題クライアントは、某ペットフード会社だった。
流通経験が長かった僕は、
まずは売り場を見ることからいつも仕事をはじめます。
売り場には商品があり、消費者がいる。
売り場を見ると、問題点や課題が見つかることはもちろん、
アイデアが見つかることもあります。
そのときの研修も同じ動きをしました。
ペットショップに行き、某ペットフード会社の商品がどのように陳列されているか、
競合商品はどうか、成長が期待できるペット商品のジャンルは何か、などなど。
仕事と変わらぬ真剣なまなざしを、商品棚にむけていた。
そしてペットショップで見つけたものは、
課題でも、問題点でも、ましてやビッグなアイデアでもなく、
一匹のネコだった。
まさに、ひと目惚れ。
一緒に暮らすことを即決しました。
青い瞳のスコティッシュ・フォールド。
「そら」と名付けた。
目が青いから、「そら」。
単純です。
でも、名前は単純なほうがいい。
覚えやすいし、特徴もすぐわかる。
もうひとつ、決定した理由があります。
響きです。
名前は生涯にわたって、何万回と呼ばれる。
親に、友達に、先生に、恋人に、会社の上司に、
何万回と名前が呼ばれることで、
その人の人格は形成されるのだと思う。
クールな人にはクールな名前がついているし、
優しい人にはやわらかな名前がついている。
「部長、部長」と呼ばれているうちに、
部長らしくなった我が社の部長もいる。
「そら」は、「大和言葉」です。
日本に大陸文化が伝来する以前から、
日本列島で話されていた言語です。
だから「大和言葉」には、日本人がもつ自然や季節の情趣を感じさせる語が多い。
「あさせ(浅瀬)」「はるさめ(春雨)」「はつしも(初霜)」
「よなが(夜長)」「あおぞら(青空)」など。
「大和言葉」は美しく、優しく、言葉にするとほっとする。
今日も、「そら」「そら」「そらっ!」と、何回呼んだだろう。
来月で、「そら」は一歳になる。