田中 -第1話-
緒方勝彦さんから引きつぎました。
電通九州の永野弥生でございます。
このコラムを読まれている方で、
私を知る方はあまりいないと思います。
なにしろTCCのホームページは、
1日に3,700前後ものアクセスがあるそうです。
5日間で、約18,500アクセス。
延べ人数とはいえ武道館をいっぱいにして、
なお5,000人があぶれるほどの人、人、人…。
知らない人でうめつくされた武道館の
ステージにポツンと立つ私…(妄想)
気が遠くなります。
なので、まことに勝手ながら、
今回は、とにかく私のことを知っていただくために、
自分の生い立ちについてツラツラ書こうと思います。
厳密に言うと「田中」という
ひとりの男の生きざまを通して、
私のことを語ってみようと思います。
なぜなら、
武道館いっぱいの観客(妄想)を前に
すっかりびびってしまった小心者の私が、
今さらながら両親に、自分の生い立ちを
ヒアリングしたところ、随所に「田中」という
名前が出てきたからです。
私すら知らない皆さま、
さらなる「田中」の登場をお許しください。
● ● ●
私の家は酒屋だったので、
当然のことながら、誰もが自由にうちを訪ねてくる。
田中もその一人だ。
ある日、いつものようにやってきた田中は、
「お宅の上のお嬢さんオレにくれんかね?」
と、ワンカップ大関でも買うように言った。
「上のお嬢さん」とは、私のことだ。
田中50歳、私18歳の春だった。
目上の人を、呼び捨てにするような子に
育てられた覚えはないが、
わが家では、まるでそれが愛称のように、
田中は、田中だった。
つづく